◇2016-07-11 (月)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で行われている連続講座、「古典講座」の前期第3回目が行われました。講師に、元奈良学園高校教諭・吉村治彦先生をお迎えし、「小倉百人一首」をテーマに講義を行っています。
本講座では、毎回さまざまなテーマで「小倉百人一首」を切り取り、15首程度を取り上げます。今回のテーマは恋。「心ときめく! 雅でドラマチックな"恋の歌"」と題して、さまざまな恋を詠んだ歌について、先生の解説を聞きました。
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき あさぼらけかな(藤原道信朝臣)
君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな(藤原義孝)
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり(権中納言敦忠)
この3首は、すべて「後朝(きぬぎぬ)の歌」。男性が女性の元へ通うという「妻問婚」のスタイルをとっていた平安時代、女性のもとを去った男性には、できるだけ早く女性のもとへ歌を届けなければならない、というしきたりがありました。同じシチュエーションで詠まれたこれらの歌にも、それぞれの個性が出ていると、先生は解説されました。
すでに真夏のような暑さの一日。旧居の庭には、ギボウシが咲いています。