◇2016-06-20 (月)
学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、特別講座「白樺サロン」を開催しました。
今期2回目となる今回は、相愛大学人文学部教授・呉谷充利先生を講師にお迎えし、「小出楢重・谷崎潤一郎と志賀直哉 --表現における性分(神経)と心持ち--」と題した講義を行っていただきました。
耽美主義を貫く谷崎潤一郎と、リアリズムを追求する志賀直哉。作風の全く異なる両者ですが、その違いはどこから来るのでしょう。先生は、「神経」と「心持ち」という観点から、その違いを解説されました。講義の中では、谷崎と似た性分を持つ人物として、『Nの家族』という作品で知られる大阪出身の画家・小出楢重についても解説。小出楢重は、谷崎の『蓼喰ふ虫』の挿絵を手がけていますが、その際のことを述べた二人、それぞれの文章がとても印象的でした。
また昨年、志賀直哉の文学資料が日本近代文学館へ寄贈されましたが、呉谷先生はその遺品調査に立ちあわれました。その際に見つかった内村鑑三との写真や叔父に宛てた未投函書簡なども講座内で紹介していただき、たいへん貴重な機会となりました。
梅雨真っ只中。旧居の庭では、大きな紫陽花がにぎやかに花を咲かせています。