学校法人奈良学園

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◇2015-12-14 (月)

古典文学講座《西行》後期第3回「西行と伊勢」を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で行われている「古典講座」の後期第3回目が行われました。この講座は「月と花の歌人」として慕われる西行を題材とした連続講座で、講師には元奈良学園高校教諭・吉村治彦先生をお迎えしています。

今回のテーマは「西行と伊勢」です。西行は73歳でその生涯を閉じますが、晩年の約7年間、63歳から69歳までを伊勢で過ごしています。西行が伊勢二見の安養寺に庵を結んだのは1180年とされますが、この年は後白河法皇の第2皇子・以仁王による平氏討伐の令旨が下った年。平氏が滅亡へと向かうなか、京の都では干ばつや飢饉が相次いだといいます。この混乱の時期に、なぜ西行は伊勢に向かったのでしょうか。
それは「たくみな疎開」だったと先生は述べられました。それまで西行は高野山で修行をしていましたが、戦乱の世が続けば、高野山も危険だと西行は考えたのでしょう。また西行は伊勢の地に馴染みがあり、また伊勢神宮の神官とも交友があったのです。さまざまな縁を生かした西行は伊勢へ。2つ目の草庵を結んだ菩提山神宮寺のあった場所には今なお、「西行谷」という地名が残っていることなどを、先生は地図を片手にていねいに解説されました。

伊勢で詠まれた西行の歌には、西行の根本的な考え方、すなわち「神も仏である」という考えがよく表れていると先生は述べられました。

 榊葉に心をかけん木綿垂でて 思へば神も仏なりけり

このようなダイレクトな表現で、その思いを伝えている歌もあります。仏法を学んだ西行は、熊野、高野を経て伊勢に入り、神仏習合の境地に達したのかもしれません。

中庭のサネカズラの実が深い赤色になってきました。その愛らしさに思わず笑みがこぼれます。

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