学校法人奈良学園

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◇2015-07-21 (火)

白樺サロンの会第3回 関西学院大学東浦弘樹教授「カミュの『異邦人』、カミュと『異邦人』」の講義を行いました

  • 白樺サロンの会第3回 関西学院大学東浦弘樹教授「カミュの『異邦人』、カミュと『異邦人』」の講義を行いました
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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で、前期特別講座「白樺サロン」の第3回目を開催しました。この講座は、旧居界隈の文学や芸術に精通する「白樺サロンの会」の会員を講師に迎えて行われます。今回は、関西学院大学文学部教授で、ピカルディー大学において国際カミュ研究会会長ジャクリーヌ・ヴァランシ氏に師事した東浦弘樹氏による「カミュの『異邦人』、カミュと『異邦人』」と題した講義が行われました。

今回の題材である『異邦人』を著したアルベール・カミュは、小説家であり、哲学者であり、劇作家。1957年当時としては最年少の43歳でノーベル文学賞を受賞したことでも知られます。

東浦先生はまず、先生とカミュ、そして『異邦人』との出会いについて話されました。ドストエフスキーが大好きだったという先生が『異邦人』を手にしたのは、17歳のときの偶然の出来事でした。その偶然以来、先生はその魅力に取り付かれたといいます。

次に、カミュの作品群を、時間軸をもとに4つに分けて解説されました。カミュは、一つのテーマに沿った連作を、小説1編、戯曲2編、哲学的エセー1編という4つのパーツで構成して残しています。現在残っているのは「不条理の連作」と「反抗の連作」。カミュは、46歳の若さで交通事故によってこの世を去りますが、もしその後もカミュの人生が続いていたとしたら、どのようなものができていたのか、とても興味深いと先生は述べられました。

『異邦人』についての講義の前に、カミュの生涯について紐解かれました。『異邦人』を読むに当たって、カミュ自身の生涯を理解しておくことはとても助けになると先生は言います。1913年、当時フランス領だったアルジェリアにカミュは生まれます。父はカミュが物心つく前に死亡。文盲の母親や兄弟とともにカミュは祖母の家に身を寄せます。
この祖母の葬式のときの体験が『異邦人』の原体験の一つではないかと考えられると先生は話をされました。悲しくないのに、悲しい振りをした自分自身にぎこちなさを感じたカミュは、『異邦人』の主人公・ムルソーに「自分の感情の仮面をまとわせることを拒む」生き方をさせたのではないか。人間に嘘を要求する社会、またそのような社会に適応している人びとをカミュはこの作品のなかで批判していると述べられました。

大学での研究の傍、先生は劇作家であり、役者としての顔も持っておられます。先生が流暢なフランス語で、『異邦人』の一部分を朗読される様子はまるで演劇を見ているようで、受講生の皆さんもすっかり引き込まれているようでした。

梅雨が明け、夏が訪れた旧居では、カサブランカが大輪の花を咲かせています。

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