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◇2015-01-26 (月)

近代文学後期講座第4回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で近代文学後期講座「文学表現の諸相<詩歌と小説の相関>」(全5回)の第4回「斉藤茂吉と釈迢空(折口信夫)」「井上靖の詩と小説」を開催しました。講師は京都大学以文会会員の植村正純先生です。

前半は、前回読み比べた歌人の釋迢空と斉藤茂吉の短歌の共通点とそれぞれが追及し描こうとした世界についての考察でした。近代短歌で著名な二人は、茂吉が釋迢空より5歳年上で、近代短歌が爆発的に芽を出した時期(30歳ごろ)に、「母」を素材に多くの歌を詠んでいます。

先生は、二人の共通点として、「短歌、散文、小説、論文、エッセイなどにいろいろな表現様式で自己を表現した創作者であり、膨大な研究所を残した学者で、伝統文化、古典文藝に深い造詣と愛着を持っていた」と話されました。

三十一文字の制約の中で、叙事(理)と抒情(情:リズム・にほひ・語気)の融合を模索した二人ですが、二人の性格や歌風は、茂吉が山形の田舎出身(後に東京の齋藤病院の養子)で、良い意味の愚直さや激情を持っていたのに対し、釋迢空は、都会(大阪)育ちでやや中性的・内向的でデリケートだったとされました。

茂吉は、大正8年の『竜馬漫語』の「釋迢空に與ふ」で釋迢空を酷評し、釋迢空も反論します。円熟しきった頃の二人は互いを認め、尊敬しあい、釋迢空は晩年に『歌論歌話』の「民族の感嘆」と「禮儀深さ」で、茂吉とその作品に対する理解を記し、それが遅きに過ぎたことを悔いています。また「雪しろのはるかに来たる川上を 見つゝ思へり。齋藤茂吉」と1行歌にしたためたということです。

その後、「井上靖の詩と小説」に入りました。詩人であり小説家だった井上靖。「小説はよく知られていますが、彼は生涯にわたって詩作を続けていました」と先生。そして、『猟銃』『比良のシャクナゲ』『石庭』の詩を読み、佐藤春夫、川端康成、山本健吉らの作品解説と共に、「彼の場合、詩(散文)が母体となって小説を書いた」と話されました。
次回も引き続き、「井上靖の文学表現」について学びます。

旧居では、寒アヤメの花が、冬の庭に彩を添えています。

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