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◇2015-01-19 (月)

古典文学講座《古今和歌集》後期第3回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典文学講座《古今和歌集》後期第3回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『古今和歌集』を読み解いていきます。

本日は、【「物名(もののな)」所載歌表記雑考】と題して、『古今和歌集』中の物名が詠み込まれた歌を例に、その表記についての講義でした。

「物名」とは、与えられた題のことば(語)を歌の表面の意味とは繋がらない形で、文字列(清濁問わず)として歌に詠み込むもので、「隠し題」とも言われます。『古今和歌集』では、巻第十が「物名」で、所収歌47首、それぞれ鳥・虫・植物・地名・人事の物事が詠み込まれています。

先生はまず、「梅(うめ)」が詠み込まれた歌「あなうめにつねなるべくもみえぬ哉 こひしかるべきかはにほひつゝ」を挙げて、それが『伊達本』『建久二年俊成本』『元永本』での文字表記が異なることを示されました。そして「うめ」を「憂目(うめ)」とした歌を例に、「憂」の活用形に触れ、現代語と比較しながらその考察を進められました。

次は「りうたん(竜胆)」を詠み込んだ例で「鳥打たん」「鳥打たむ」「とりうたう」と「ん」「む」「う」があることについてでした。定家筆による『伊達本』には、同じ文字をアクセントで使い分ける<定家仮名遣い>と、近くに同じ文字が来る場合は他の文字を当てる<定家文字遣い>が見られ、定家が字意を熟知し、かつ優れた美的感覚を持った書家であったと話されました。

先生は「古典表記に『う』『む』『ん』が出てくると、これは面白いです。ただ「無」ではなく「无(む)」は厄介です」と話されて、「む」「も」「ん」をアルファベットの発音記号で示し、時代が進むにつれて発音しやすいものに変化していったと説明されました。そして「仮名が日本の文芸を豊かにしたのです。この「物名」は、おしゃれな言葉遊びです」と、比べ読みを勧められました。

最後に、【付けたし】として地名の漢字表記に言及されました。舌内鼻音の「因幡(イナバ)」「丹波(タニバ)」「讃岐(サヌキ)」「但馬(タヂマ)」「播磨(ハリマ)」「駿河(スルガ)、」喉内鼻音の「相模(サガミ)」、脣内鼻音の「男信(ナマシナ)」を挙げて、元々「ん」の発音が音訳されたものと解説され、本日の講義を終えられました。

旧居では、真っ赤な実をつけた万両が、随所で冬の庭に彩りを添えています。

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