学校法人奈良学園

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◇2014-12-15 (月)

古典講読講座《芭蕉と大和》後期第2回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《芭蕉と大和》後期第2回を開催しました。講師に、奈良学園高等学校元教員の吉村治彦先生をお招きし、月1回のペースで『笈の小文』を読んでいきます。

本日はまず、本講座の『記念文集』発行に合わせて、その原稿書きの注意も兼ねた文体についての決まりごとの指導がありました。文体には雅文体と俗文体があり、散体・会話体(です・ます調)、常体・文章体(である・だ調)があるので、よほどのことがない限りその統一が望ましいという内容でした。

最初に、先生は、芭蕉が神無月(10月)初めに江戸を発ち、名古屋を経由し、鈴鹿峠を越えて故郷・伊賀を訪ねた後、弥生(3月)半ばに奈良街道を大和へ向かう経路を地図で示しつつ、『笈の小文』を読み進まれました。

芭蕉は、「旅人と我名よばれん初しぐれ」と詠み、初秋に江戸を出発して名古屋に到着。ところが、特に可愛がっていた門人で遠島の刑に服していた杜國(とこく)に会うため、同じく門人の越人を同行して名古屋から伊良子崎まで返し、「寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき」と詠みます。「同宿したのは越人ですが、思いは杜國にあります」と、先生は芭蕉の心情を説かれました。

続いて、熱田神宮の立派に修復された姿に感動して伊賀に向かいますが、鈴鹿越え中に落馬、「歩行ならば杖つき坂を落馬哉」と。先生の「落馬でカッカしたあまりに、季語も忘れています」との注釈に、教室内に笑い声がさざめきました。

伊賀の新大仏寺では、「さまざまの事おもひ出す桜哉」と詠むのですが、「桜の時期にはまだ早いので、この句は編集ミス(『笈の小文』は芭蕉の死後、門人河井乙州により編集・刊行された)ですね」と説明されました。

3月半ば頃、伊勢を回った芭蕉は、ここで万菊丸と名乗った杜國と落ち合い、「乾坤無住同行二人(けんこんむぢゅうどうぎょうににん」と笠の裏に落書きして伊賀に戻ります。そして名張、長谷、桜井と奈良街道を大和へと入っていきます。「現在の近鉄大阪線沿いを旅したのです」とまとめられ、本日の講義が終わりました。

旧居では、南天、千両、万両、美男蔓の赤い実がきれいに色づいています。そのなかで中庭の黄色実の千両の、品のいい姿が目を引いています。

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