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◇2014-11-17 (月)

古典文学講座《古今和歌集》後期第1回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典文学講座《古今和歌集》後期第1回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『古今和歌集』を読み解いていきます。

先生は講義に先立ち、今年9月に刊行された『逢坂の六人』(周防柳/集英社 1,700円)を紹介されました。『古今和歌集』の成立について、六歌仙の歌と批評めいたやりとりを小説仕立てにしたもので、気楽に面白く読めるとのことです。

本日の講義は、『古今和歌集』の「見わたせば 柳桜を こきまぜて みやこぞ春の 錦なりける」(巻第一 春歌上 56番歌/新潮日本古典集成)を例に、文字表記による意味の違いについて解説されました。

先生はその歌の書で、伊達本(藤原定家筆)と元永本(伝源俊来筆)、近衛本(平安時代末写)の3例を挙げ、かな文字表記の違いとその意味の違いについて言及されました。

さらに、小松英雄と石川九揚の「ひらがな対談」(『芸術新潮』/2006年2月号)の「高野切の『ひと』という字をポケットに入れて帰りたい」を引用され、「ひ」の終筆と「と」の始集が二重化した<掛筆文字>ほか、カタカナに多い<連合文字>、頻出する漢字の<略文字>などを紹介されました。

次に「みやこそはるのにしきなりけれ」の部分に着目、「こそ」の意味については、平安時代も現代も同じ意味の使われ方をしていると説明されました。が、「ぞ」の訳について、『新潮日本古典集成』『角川ソフィア文庫』『日本古典文学大系』新日本古典文学大系』『日本古典全集』を挙げ、「都が」と「都は」による意味の違いを究明されました。

「AはB」の構文は、Aの部分が既知(古い)情報でBの部分が未知(新しい)情報、「AがB」の構文は、Aの部分が未知(新しい)情報でBの部分が既知(古い)情報を表現する<気付き(発見)の構文>と講釈され、「は」を用いると、「・・・だけれど、何か足りないものがある、というマイナス的な意味を含むので注意が必要だ」と話されました。

そして、「注釈書もいろいろ違っていて、比べて読むと興味深いですよ。いろんな訳本を読んでみて、表記違い・訳違いをチェックしてみてください」と結ばれました。

受講生からは、「昨年から書を習っているのですが、ただ書き写すだけでした。連綿文字などにについて、もっと一字一句に気を配り、文意を考えながら書いていきたいです」との感想がありました。

旧居の中庭では、テイカカズラの実が赤く色づき始めました。

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