学校法人奈良学園

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◇2014-10-27 (月)

秋期特別講座「白樺サロンの会」(全8回)の第6回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で秋期特別講座「白樺サロンの会~高畑サロン、ふたたび~」第6回(台風18号で本日に延期)を開催しました。この講座は、この地の芸術や文学に残る貴重な遺産を継承するために発会した"白樺サロンの会"の会員を講師に迎え開かれるものです。本日は、相愛大学の石川玲子教授による「英国モダニズム作家ヴァージニア・ウルフとキャサリン・マンスフィールドの描くパーティ」と題し講義を行っていただきました。

石川先生は、志賀直哉と同時代の英国モダニズム作家ヴァージニア・ウルフとキャサリン・マンスフィールドを紹介し、作品中の表記と両者の日記を提示しながら<パーティ>が意味するものを考察されました。

はじめに、「<社交>は、人々の生活の重要な部分であり、作家をひきつける複雑で深い要素があり、古くから文学のテーマや背景となってきました」と前置きされたのち、そして、主人公がその日のパーティのためにある朝、花を買いに行くところからパーティが終わる夜更け過ぎまでを描いた、ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』(1925年)を例に講義されました。

主人公のクラリッサ・ダロウェイにとって、パーティは<人生と深く結びついて>おり、<捧げもののための捧げもの>であり、<人々を結び合わせ、そこから何かを作り出すこと>でした。そのパーティは、悲惨だった第一次世界大戦後の平穏な日常に開かれるもので、クラリッサの<人生への愛着と死への意識>が読み取れます。

先生は、他の表記例も挙げながら「西洋文学における祝祭・パーティは、社交の光と温かさに対し、外部の暗闇は孤独と死を暗示するもので、パーティは<死の前での人生賛美のシンボル>となっており、それはウルフ自信の考えでもあります」とまとめられました。

次にキャサリン・マンスフィールドの『園遊会』(1921年)を例に、彼女のパーティ観を見ていきました。そしてこの作品のテーマは、①上流中産階級と労働者階級、階級意識 ②生(人生)と死 ③思春期の娘ローラ(主人公)の精神的成長 であることを確認しました。

最後に先生は、「都市の無関心砂漠と無数の小市民の孤立している現代、コミュニケーションの形も変わってきているけれど、現代の<社交>を見直してみる価値があるのでは」と結ばれました。

講義後、受講者から「米国に在住時、準備からもてなしまで、ホスト側にとってのパーティはしんどかったです」との苦労話や、「最近では、友人やファミリー間でのホームパーティも盛んで、無意識にウルフやマンスフィールドに近いパーティ観を持っている人も増えているのでは」などの感想が聞かれました。

旧居の庭では、たわわに実った柿が赤く色づき、満開のツワブキが秋の演出に一役買っています。

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