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◇2014-09-08 (月)

秋期特別講座「白樺サロンの会」(全8回)の第2回を開催

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本学園のセミナーハウスである志賀直哉旧居で秋期特別講座「白樺サロンの会~高畑サロン、ふたたび~」第2回を開催しました。この講座は、この地の芸術や文学に残る貴重な遺産を継承するために発会した"白樺サロンの会"会員を講師に迎え開かれるものです。第2回目の本日は、奈良女子大学講師の吉川仁子先生に「夏目漱石『それから』―代助のありよう―」と題し講義を行っていただきました。

吉川先生は、漱石の「前期三部作」の中から『それから』を取り上げるにあたり、漱石自身は、「三四郎に続く、いろいろな意味で"それから"である」と予告しているが、「私は、『それから』以降の作品は繋がっているが、『三四郎』とは繋がりが薄いと思う」と話されて本題に入られました。

『それから』は恋愛小説でありながら、当時の社会的事件を取り込んで文明批評的な要素を盛り込み、主人公・代助の存在様式や<家>の問題など多様な問題を含む作品と説明して、その内容について漱石の日記とメモを参考にしながら考察されました。

まず『それから』のあらすじから、過去の代助と現在の代助を比べ、変化の起点はどこにあったかを作品中に探りました。それが3年前に自分が周旋した三千代と平岡の結婚であり、その変化の軸は代助に働かなくても食べていける裕福さをもたらしている実業化の父であったことを確認しました。

過去の代助は「相手のためになることを大事に思う人間」でしたが、現在の代助は「パンのために生きることを劣悪に思い、人間関係を拒否するモラトリアム人間と酷似」しているのです。三千代と相思相愛の代助ですが、父親に猛反対され職探しに出ることに。結局「お金を稼がないということは人間関係の否定で、弱点克服のためには社会へ戻らざるを得なくなる」ということが結論付けられます。

さらに先生は、志賀直哉の半自伝『児を盗む話』の主人公と代助とは似た境遇と指摘されます。代助を取り囲む社会や家庭環境は、白樺派の青年たちとほぼ同様なものでした。漱石は白樺派のことは知っておらず、武者小路実篤が「わがことが書かれている」と感じ、『白樺』創刊号の冒頭に「『それから』について」を絶賛して掲載したということです。

講義後、受講生は「漱石の日記やメモなどとつき合わせながら『それから』を解説いただき、改めて深い読みができるように思います」「先生の研究の深さに感服しました」と話されました。

次回は相愛大学教授の呉谷充利先生による「柳宗悦と志賀直哉―日本のモダニズム―」です。
旧居の裏庭では、芙蓉(ふよう)が毎日ピンクの大輪の花を咲かせています。

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