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◇2014-08-25 (月)

古典文学講座《古今和歌集》第5回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典文学講座《古今和歌集》第5回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『古今和歌集』を読み解いてきました。本日はその最終回です。

本日は、<『古今和歌集』の歌ことばとしての「うらみ」>がテーマでした。

『古今集』の恋歌は5巻にわたって、恋愛の経緯が、萌芽、発生、進展、成就、破綻、終焉と順を追って配列されているのですが、先生は「内容はさておき、その恋歌の中に7例ある<うらむ>について、その"ウラ"を読んでみましょう」と講義を始められました。

伊達本・藤原定家筆を全員で音読しました。その中に<うらむ>を<怨>と表記されたものが多く、一方『万葉集』に3例(確かな例は2例のみ)ある<うらむ>は西本願寺本によると<恨>が当てられています。「では、<怨>と<恨>は、一緒なのでしょうか」と先生が問いかけられ、その違いについて考えていきました。

先生は、平安時代の国語辞典・黒川本『色葉字類抄』や漢字字典・福地院本『類聚名義抄』で<うらむ>の漢字の多さを示した後で、『大漢和辞典』の<怨>と<恨>の解釈を説明されました。「心情表現の漢語とその訓の考察」(遠藤哲夫『月刊国語教育』)によると、<怨>は心が屈曲しており、欲求が満たされずやるせない感情でその時点の心情。そして、<恨>は心に傷として残るもの、後悔・心残りなど自らの心の傷に対処する心情で、過去に拘(かか)わるものだということです。

また、松浦友久『詩語の諸相』の<怨>と<恨>の解釈や、『長恨歌』(白居易)の例も挙げられ、「定家の<怨>は<恨>の解釈のほうが当時の恋愛状況に合っているのではないでしょうか」とまとめられました。そして「読みは同じでも漢字の当て方で意味はかなり違ってきます。訳が同じになることはありえない。漢字の意味に、また日本語にどこまで精通しているかにより、訳は異なります。だからいろんな訳本を読んでみて、表記違い・訳違いをチェックしてみてください」と結ばれました。

旧居の裏庭には夏水仙が淡いピンクの花を咲かせました。また玄関では、山野草の会の好意によるサギソウが涼やかさを演出しています。

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