学校法人奈良学園

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◇2014-08-11 (月)

古典文学講座《古今和歌集》第4回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典文学講座《古今和歌集》第4回を開催しました。講師に京都女子大学文学部国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『古今和歌集』を読み解いています。

本日は前回の木簡の話に関連して、出土した「歌の書かれた木簡」の文字と読みや万葉集歌との比較から考察を行いました。

用意された「歌の書かれた木簡」は、①「はるくさ木簡」(難波宮出土/7世紀中期)②「あきはぎ木簡」(馬場南遺跡/木津川市/奈良時代中期~後期/8世紀後半)③「あきなぎ木簡」(線刻/石神遺跡/明日香村/7世紀後半)④「はるなれば木簡」(秋田城跡/奈良時代後期)⑤「なにはつ木簡」(観音寺遺跡/徳島県/7世紀後半)⑥「とくとさだめて木簡」(飛鳥池遺跡/明日香)⑦「あまるとも木簡」(平城宮跡/天平宝治年間?)⑧「玉に有れば木簡」(平城宮跡/奈良時代後期)⑨「目もみずある木簡」(平城宮跡/奈良時代後期)⑩「つくよよみ木簡」(平城宮跡/天平20年前後)⑪「たたなづく木簡」(藤原宮跡)の11例です。

その一つひとつを読んでいきながら、現代の母音は「あいうえお」の5音ですが、当時は「い」「え」「お」には、甲乙2音があり、計8母音だったことを紹介されました。万葉集では、甲乙の母音がきっちり書き分けられているのに、この歌は甲乙が混同していることから、「万葉集は、どの時代かに編纂し直されたものではないか」と解説されました。

また、「斯」の文字が「し」と「じ」の読みに用いられるなど随所に静音と濁音の混同が見られ、これも万葉仮名では使い分けていることから、かなり時代を溯ったものと考えることもできるとのことです。

先生は、「皮」と「波」を「ハ」と読むなどの漢字表記(「皮」を単独で「ハ」と読むのは7世紀初めの特長)、繰り返し記号、字余りの歌には必ず母音がある(表記は6文字でも読めば5音に収まる)など、興味深い話を混じえつつ11枚の木簡の解読を進められました。

そして「これらは、『歌の書かれた木簡』であって『歌木簡』ではありません。『歌木簡』は、表裏に書きませんし、歌を書くために用意された木簡なのです」と話し、「歌木簡はこんなものでした」と、実際の木板を示されました。「土の中にはロマンが詰まっていて私は大好きです。皆さんも木簡を見る機会がありましたらじっくり見てください。楽しみが広がるかもしれません」と結ばれました。

受講生は、「(柿本)人麻呂以前に漢字に精通していた人がいたかもしれないとか、文字表記によって時代の考証ができるなんてわくわくしました」「これから木簡展示とかを見る楽しみが増えました」と話されていました。

台風11号の通過後の本日は、旧居に夏日が戻りましたが、裏庭で咲くムラサキカッコウアザミが涼やかさを感じさせてくれます。

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