◇2014-06-23 (月)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《芭蕉と大和》第3回を開催しました。講師に、元奈良学園高等学校教員の吉村治彦先生をお招きし、月1回のペースで『野ざらし紀行』(芭蕉文集)を読んでいます。
奈良と関係の深い『野ざらし紀行』。芭蕉41歳、弟子の千里(ちり)を伴い、故郷の伊賀上野への旅紀行です。先生は、「旅をしたルートにはあいまいなものもありますが、我々読者が想像を膨らませて読めばいいのです」と話されました。
『野ざらし紀行』の冒頭部分を先生が音読、現代語訳しながら、名文の理由は、芭蕉が崇拝した『荘子』や『論語』など中国の古典・故事の引用がもたらす格調高さだと説明されました。
貞享甲子(1864年)秋八月、深川の芭蕉庵を発った芭蕉が約1か月かけて故郷へたどり着くのですが、講座では、芭蕉が道中で詠んだ歌に情景を思い描き、芭蕉の心理を推し量りながら読みました。旅は箱根の関を越え、富士川のほとりで捨て子に遭遇、大井川を越え、小夜の中山を経て、伊勢神宮参拝と続きます。
先生は、江戸から伊賀上野までの拡大地図を新たに配布され、『野ざらし紀行』の内容と照らし合わせながら読み進めました。伊勢で芭蕉は、朋友の松葉屋風瀑宅に逗留、内宮へ詣でたものの身なりが僧のようであったために参拝を断られたとありました。次回は伊賀上野に帰り着き、いよいよ奈良へ足を踏み入れます。
旧居では、アジサイが色づき始め、ギボウシの花も開花待ちです。玄関では、山野草愛好会がお寄せくださったコシキジマシライトソウが、梅雨時の清涼剤の役目を果たしているようです。