学校法人奈良学園

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◇2014-06-16 (月)

近代文学講座第3回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で近代文学講座「奈良ゆかりの文学」(全5回)の第3回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

今回は〔高樹のぶ子と奈良まち〕と題し、芥川賞受賞作家・高樹のぶ子の作品『奇しき岡本』『率川神社の易者』『時を青く染めて』を読み進め、彼女の視点や表現法にスポットを当てました。

『奇しき岡本』と『率川神社の易者』は、奈良町に住む薬師寺の非正規職員・高畑明日香を主人公としたミステリーの連作です。奈良を舞台に、地名オタクでもある明日香が日本最古の説話集とされる『日本霊異記』とリンクする現代の事件や事象の謎を解いていきます。

これらの作品の特長は、ストーリーが主人公の一人称で進行する点で、現代のブログ風の展開であると説かれました。さらに『日本霊異記』のパロディとしてコミカルな文章でユーモラスたっぷりに描きつつ、親子殺しやサイバー犯罪といった現代の要素を織り込むことで、現代女性である明日香の目線で世の中を捉えさせています。

『時を青く染めて』は、深く青い海を背景に一人の女を巡る二人の男の葛藤の物語ですが、感性と理性という2つの視点で描かれた同作品は、前述の連作とまったく文体が異なり、作者の表現の幅の広さを物語ります。両極端の作品から、先生は「現代女性の視点で描いた『奇しき岡本』と『率川神社の易者』は、作者にとって習作・試作でしょう」と考察されました。

この日は偶然にも、率川神社の三枝祭の前日。『率川神社の易者』の作中でも三枝祭の前日が描かれており、受講生は祭の情景に思いを馳せながら作品を味わいました。旧居の庭では早咲きのコスモスが、池畔では卵からふ化したモリアオガエルのオタマジャクシの姿が見られました。

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