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◇2014-05-12 (月)

平成26年度 古典文学講座《古今和歌集》第1回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典文学講座《古今和歌集》第1回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『古今和歌集』を読み解いていきます。

はじめに、北森貞次館長から西崎先生について「古典は、書写されて今に伝わっていますが、その過程で表記が変わることがあり、一字違いで解釈が大きく異なります。先生は、そういうことを広く深く研究されている方ですから、きっと面白い話をお聞きになれることでしょう」と紹介されました。

西崎先生は、『古今和歌集を読む』と題し、亀井孝の「古今和歌集の注釈のために」を引用、「かなり手厳しいですが、著者の趣味を押し売りした注釈が多く、これは本居宣長の『古今集遠鏡』を一歩も出ていないと批判しているのです」と話されました。

「『万葉集』は、平安時代の言葉で書き写されたものだと理解して読まなければなりません。その時代の言葉の表記や意味を知って読むのと知らずに読むのとでは、面白さも違ってくるというものです」と続けられます。

そして、①伊達本『古今和歌集』藤原定家筆、②元永本『古今和歌集』伝源俊頼筆、③建久二年俊成本『古今和歌集』の3首で、「迷心」の表記に留意し、<平安時代の「まどふ」と「まよふ」>の違いの考察を述べられました。

注釈本・現代語訳の、①日本古典文学大系『古今和歌集』、②新日本古典文学大系『古今和歌集』、③角川ソフィア文庫『古今和歌集』、④『古今集遠鏡』(本居宣長全集)を例に、"恋にどう迷ったのか"を考えていきました。

先生によると、「迷」には「まよふ」という読みはなく、「迷心」は「まどふ」と読むそうです。「まよふ」は、選択肢はあるが決めかねる状況を言い、「まどふ」は皆目どうしてよいかわからない状況とのことです。そして、「迷惑(まどふ)」「振古(ふるし)」「疲極(つかれる)」など、同義の文字を二つ重ねて一意を表す漢字の用法=<連文>も言及されました。

「表記の違いに注意・注目して読むほうが作者の思いがよくわかるし、面白い」と結ばれて、本日の講義を終えられました。途中では、『古今和歌集』を読む上で参考になる本や、今一番面白い辞書として『新明解国語辞典』などの紹介もありました。

講義終了後も先生に質問される方もおり、受講生は強い関心を示されたようです。「表記に留意して読むことの大切さと面白さがわかりかけてきました」と話される方もありました。旧居の池には今年もモリアオガエルが来訪、講座終了時分の雲行きを感知してか早速軽快な鳴き声を聴かせてくれました。

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