学校法人奈良学園

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◇2014-03-17 (月)

【志賀直哉旧居】古典講読講座《伊勢物語Ⅱ》第5回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で《伊勢物語Ⅱ》第5回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『伊勢物語』(日本古典文学全集/小学館)を"拾い読み"と称して読み解いてきました。

最終回の本日は、<『伊勢物語』五十三・五十四段と『遊仙窟』>と題し、古典文学や古文書などを読むときに知っていれば、より面白いだろうという読み方の決まり事などを講義していただきました。『遊仙窟』は唐代に書かれた中国初の恋愛小説で、遣唐使に持ち帰られ、日本で書写、複製本が中国へ伝来した作品です。日本文学の表現や発想にかなり影響し、特に平安朝物語小説の発生を促したことは特筆すべき事実とのことです。

『伊勢物語』五十三段<あひがたき女>に「・・・とりの鳴きければ いかでかはとりの鳴くらむ人知れず思ふ心はまだ夜ぶかきに」のくだりがありますが、『遊仙窟』(八木沢元/明治書院)に「詎(なん)ぞ知らん、憎むへき病鵲、夜半に人を驚かし、薄媚の狂鶏、三更に暁を唱わんとは。・・・衣を被りて對坐し、泣涙して相看る」とあり、これが元となったのは明らかなことを読み取りました。

「当時、物語などを書いた人は、こういった中国の書物を多読・勉強し、作品に反映させました。そこまで知って読むと、深く面白い読みができます」と先生。また「この男性向けの恋愛小説を僧が愛読し、書き写したのが面白いですね。『源氏物語』にも随所に登場するので、作者とされる紫式部もきっと読んだに違いないのです」と、平安仮名文学の発展に僧侶が貢献したことを力説されました。

その書写は書き下し文なのですが、『遊仙窟』の古写本を例に、「訓点」「声点(しょうてん)/アクセント」や「ヲコト点」を講義くださいました。「ヲコト点」については、寺院や博士(学者)家別に独自のものがあり、それぞれが門外不出のオリジナリティーな学問を行っていたことの証と説明されました。

続けて、平安時代と鎌倉時代以降では、返り点(レ点)や片仮名の「ツ」「シ」「レ」や「繰り返し記号」の形が変化しており、「それらの違いを知っていると、展覧会などでも時代考察ができて楽しいですよ」と話されました。また「お坊さんが居なかったら、日本語はどうなっていましたやら・・・。今ある日本語はお坊さんの為せる技です」とも話され、「雑談に付き合っていただき、ありがとうございました」と講座を締めくくられました。

受講生の皆様からは、「ヲコト点の意味を教わり、今後はそういったものにも注意を向けて鑑賞したいです」「毎回、単に物語の筋を追うだけでなく、深読みのポイントや面白さを教えていただけて、とてもためになりましたし、楽しかったです」といった感想をたくさんいただきました。

4月初旬頃の陽気となった本日は、満開の梅をはじめ、水仙や寒アヤメもここぞとばかりに咲き、馬酔木も鈴なりの花をつけて旧居の春の訪れを告げていました。

当セミナーハウスでは、4月から近代文学講座「奈良ゆかりの文学」と古典文学講座1「芭蕉と大和」、5月からは古典文学講座2「古今和歌集」が始まります。

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