学校法人奈良学園

ニュース & トピックス
ニュース & トピックスニュース & トピックス

ニュース & トピックスニュース & トピックス

◇2014-02-24 (月)

講座「志賀直哉と旧居」を開催

  • 講座「志賀直哉と旧居」を開催
  • 講座「志賀直哉と旧居」を開催
  • 講座「志賀直哉と旧居」を開催
  • 講座「志賀直哉と旧居」を開催

講座「志賀直哉と旧居」を開催
講座「志賀直哉と旧居」を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で、当館主催の古典講読講座受講生を対象に、北森貞次館長が「志賀直哉と旧居」と題した講話が行われました。内容は、志賀直哉の旧居での日常を、その作品と映像資料から考察するというものでした。

選ばれた作品は『池の縁』(昭和8年)という原稿用紙2枚ほどの超短編。昭和4年に直哉自らが設計して建てたこの住まいでの、五女の田鶴子さん(当時3歳)との何気ない日常がつづられたものです。先生は文章の要所で説明を加えながら音読していかれました。

作品中に親子の会話で関西弁でのやりとりがあり、先生は「はひふへほ」が突出して使われる関西弁に触れられ、奈良に残る関東弁「ゆうちゃる」や公家言葉「ゆうたいす」などの例も挙げ、直哉が使った関東での「馬鹿」と関西での「あほ」のニュアンスの違いを説明されました。

そして、文中の<私と田鶴子と「ナカ」はいつもかうして一緒なのだ。>の一文がこの作品のキーワードだと強調され、「ほのぼのとした親子の交流を描いたこの作品は、あの気難しい直哉がここでの家庭生活をいかに大事にしたかがよくわかります」と話されました。

「当時白樺派に属し西洋美術に心酔していた直哉ですが、父との軋轢(あつれき)などで執筆活動も挫折。それを救ったのは京都と奈良の寺社仏閣や古美術でした」とのこと。奈良には1、2年のつもりが、居を構えるに至り、奈良の空気とこの旧居での家族との何気ない日常が、彼に精神的安定をもたらし『暗夜行路』を完成させたといわれます。

「実はこの作品は、当初不評を買ったのですが、昭和28年、NHKの番組で、<奈良での作品の代表を挙げてください>と言われ、本人が選び朗読した作品であることからしても、彼がここでの生活に重きを置いたことの表れでしょう」と、その映像を見せてくださいました。また、「画像で見ると、より魅力的な箇所もありますので」と、旧居の写真をスライドで公開されました。

参加者らは、「昭和の初期にこんな文化的な家が建てられたなんてすごいです」「あらためて旧居に関心を持ち、身近に感じました。今日のお話や映像に出てきた造作や庭木などを拝見して帰ります」と、子ども部屋前の大壺や玄関のハート石、招霊木(オガタマノキ)などを確かめるように見て回られました。この日は春の訪れを感じさせてくれる暖かさで、庭の梅も数日後にはほころびそうな陽気となりました。

▲ページトップ

Copyright (C) Naragakuen. All right reserved.