学校法人奈良学園

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◇2014-02-17 (月)

古典講読講座《伊勢物語Ⅱ》第4回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で《伊勢物語Ⅱ》第4回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『伊勢物語』(日本古典文学全集/小学館)を"拾い読み"と称して読み解いています。

週末の降雪の名残が随所に見られる旧居で、後期第4講が行われました。本日は<『古今和歌集』の業平歌と『伊勢物語』一〇七段>と題し、伊達本藤原定家筆『古今和歌集(古今集)』(笠間文庫)の在原業平の歌と、鶴見大学図書館蔵小堀遠州筆藤原定家筆跡模本『伊勢物語』(池田利夫『藤原定家筆跡模本伊勢物語の研究』汲古書院)の該当箇所とを読み比べました。

「『伊勢物語』は『古今集』と重なる話が多く(約30首)、どこが違っているのか、どう読んだら面白いかということで、一〇七段を例に読み比べをしてみたいと思います」と先生。そして『伊勢物語』をその一〇七段に相当する『古今集』の箇所を、先生のリードで音読しました。草書体表記なので、「は(者)」「た(多)」「け(介)」「ふ(布)」「り(里)」「に(仁)」など、字源を教わりながら読み進みました。

先生は、「定家の字は癖があるので、それを知ってもらうのもいいかと思います」と話されました。そして『古今和歌集』の「業平朝臣の家に侍りける女」と「敏行朝臣」との贈答歌(617番、618番、705番)の現代語訳の後、『古今集』の業平歌の『伊勢物語』での展開を見ました。『古今和歌集』の詞書「業平朝臣の家に侍りける女」は、『伊勢物語』では「あてなる男ありけり。その男のもとなりける人」とあります。

「これは、実在の人物である業平の属性(出自が天皇家だとか、六歌仙の一人、恋多き男など)を消すことで物語の展開を自由にする狙いからです」と話されました。また「『古今集』では617番、618番の歌から708番の歌までの間がわからないですが、『伊勢物語』では・・・」と、訳に相違が出ることを指摘し、比べ読みの面白さを説かれました。

途中、受講生から「先ほど読んだ日本古典文学集の『伊勢物語』では、今読んだ『伊勢物語』にある文字の「え」が抜けていますが・・・」と、質問がありました。それに対して先生は、「仮名文学は転写で伝わっていったので、こういうことがよくありますが、調べてみます」と答えられました。

また講義の中で、「去(い)ぬる」「死ぬる」や「破損(修繕)しといて」「○○してたもれ」など奈良に残る方言や、『源氏物語』の作者の信憑(ぴょう)性にも触れられる場面があり、受講生は興味深げに聞いておられました。そして「次回にも、比べ読みの面白いものを見つけてきます」と予告されて、本日の講義を終えられました。

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