学校法人奈良学園

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◇2014-01-27 (月)

古典講読講座《徒然草》後期第5回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《徒然草》後期第5回を開催しました。講師に、かつて本学園の奈良学園高等学校で教師をされていた吉村治彦先生をお招きし、月1回のペースで『徒然草』(吉田兼好/角川ソフィア文庫)を読み解いてきました。本日はその最終講義です。

先生は、「本講座では、『徒然草』を読むことで《自分らしい生き方》を探るきっかけになれば、と今日までやってまいりました。兼好が教えてくれている"生きるヒント"としてのアドバイスを6つにまとめてみました」と、前回終えた(1)おおらかに生きる! (2)わざとらしい演出よりも、自然体での配慮を! (3)自分には厳しく、他人には優しく! を、簡単に振り返られました。

続く(4)は"安心(油断・気の緩み)"は、失敗のもと! です。先生は「古典は音読が一番です」と話されて、以下はすべて先生のリードの下、受講生全員で該当の段を音読しました。

第109段「安心にひそむ危険」、第92段「決心即実行の難しさ」の内容に、<弓道の作法では矢を2本持つが、予備があると心に緩みが生じかねない>とあり、「教職時代、受験生が滑り止め受験をしましたが、その滑り止めさえ失敗した子らがあり、胸が痛んだものです。まさにこの警告通りです」と話されました。
第110段「勝つと思うな、負けぬと思え!」では、うなずきながら読む人もありました。

(5)は、「偏見や先入観」が、自分の世界を窮屈にする! です。第141段「京・関東の比較論」では、東国人と都人とを先入観で見る人に対し、兼好は習慣や外見で人物評価をするのは間違いと批判しています。先生は、関西の辞令言葉によくある「ちょっとお茶でも」「また今度」や、ご自身の関東のお孫さんと関西のお孫さんによる「じぃじ」と「おじいちゃん」を例に出されて、教室内を沸かせられました。

(6)は、閑寂の中で、「つれづれ」を楽しむ! です。第74段「利に群がる蟻人間」、第75段「孤独の哲学」では、700~800年経た現在にも通用する、あくせく生きている現代人へのストレートな忠告を読み取りました。

先生は、「私たちは兼好と違い俗世にある身ですが、時に立ち止まって社会の喧騒から逃れ、自らを振り返ってみるのも大事なことではないでしょうか」とまとめられました。そして「読むだけでなく、皆さん自身の『徒然草』を書いてみてください。心の間口を広くし、思考の奥行きを深くします。自身の本来の姿が見え、周囲の人への理解とともに、自身の新しい生き方が発見できます」と結ばれました。

そして先生から「この講座は、僕も楽しかったです。趣味でこんなもの作ってみました」と、講座の思い出写真などを散りばめた写真はがきを全員に配られました。

講座終了後、「講義の都度、あ~、自分のこと言われているみたいだなあとか、今の世も悔い改めなければならないことは同じだなあなどと感じました」と話される方や、「楽しかったです。ミニ講座"ちょっと気になることば(言い方)"シリーズも勉強になりました」と、改めて講師の吉村先生と、この機会に恵まれたことへの感謝の意を表される方々がありました。

旧居の二階客間からは、前々夜に奈良の伝統行事である山焼きがあった若草山の黒々とした山肌が望め、「今年はよく燃えたんですね」などの声が聞かれました。

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