学校法人奈良学園

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◇2013-12-09 (月)

古典講読講座《伊勢物語Ⅱ》第2回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で《伊勢物語Ⅱ》第2回を開催しました。講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『伊勢物語』(日本古典文学全集/小学館)を"拾い読み"と称して読み解いていきます。

後期第2講の本日も<いろは雑談>で始まりました。先生は、11月14日付朝日新聞に掲載された「稲荷山古墳出土鉄剣銘文」の切り抜き記事を資料に添付し、鉄剣に記された文字を読んでくださいました。

それは、ワカタケル大王(雄略天皇)に代々杖刀人(じょうとうじん)の長として仕えた人が、祖先からの名を万葉仮名で書き連ねたものですが、「<意=オ>や<富=ホ>の読みが<古韓音>なので、おそらく半島からの帰化人が書いたものではないかと思われます」と説明されました。そして「来年1月4日から名古屋市博物館の<文字のチカラ>で本物の展示があります。実物は感激モノですよ。機会あらば・・・」と紹介されました。

雑談第2弾は、同じく文字資料の面白さで、<省文=せいぶん>でした。「披」や「波」を「皮」と書き、「草冠」を二つ重ねて「菩薩」、それに「、」を付けて「菩提」、「玉」を重ねて「瑠璃(るり)」、「女」を重ねて「娑婆(しゃば)」と読ませるなど、何度もよく使う画数の多い字は、省略して書いたことなど、興味深い話をしてくださいました。

第3弾は、大和文華館(奈良市)で現在開催中の特別企画展<文学と美術の出会い―平安時代から江戸時代の物語絵>(~12/26)のことでした。『寝覚物語絵巻』『源氏物語図帖』『伊勢物語八橋図』などが出ているからと、その図録を回覧されて、『伊勢物語』の講義に入られました。

本日は、『伊勢物語』(嵯峨本)七十七段「春の別れ」のある文字表記についての解釈を中心に話を進められました。同段の途中に「・・・、山もさらに堂の前に動きいでたるやうになむ見えける」とあるのですが、その「山も」の「も」は、「こと」と読めなくもないというのが先生の説です。「も」での現代語訳が多いですが、「その解釈には無理があるのでは」とのこと。

「こういった昔の物語は写本なので、書き写すときに『毛=も』の草書として読んだとすれば、『こと』の<連合仮名>の可能性があり、『ことさらに』と読むほうが文意もすんなりしませんか」と提案されました。「原典を読むということは、日本語の古くからの使われ方を知って読むことなので厄介ですけれど、そこが楽しいのです。答えは簡単に出ません。疑問符を持って訳本の読み比べをしてみてください」と先生。

文字の表記についてはほかにも、<通行字体>の「万」や「レ(礼)」「オ(方)」、「、」無しの「国」など、受講生の関心が深まるような話が聞けました。

旧居では、そこかしこで紅白の南天が立派な実をつけ、朱や黄の鮮やかに色づいたモミジが残照のごとく庭を彩り、来館者の賛嘆を誘っています。

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