学校法人奈良学園

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◇2013-11-11 (月)

古典講読講座《伊勢物語Ⅱ》第1回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で《伊勢物語Ⅱ》第1回を開催しました。古典講読講座《伊勢物語Ⅰ》に続くもので、講師に京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、月1回のペースで『伊勢物語』(日本古典文学全集/小学館)を"拾い読み"と称して読み解いていきます。

後期第1講の本日も<いろは雑談>で始まりました。先生は、10月25日付新聞各紙に載った「平安の将棋駒-酔象- 興福寺境内出土」の切り抜き記事を回覧しながら、それ以前に見つかった駒にも触れつつ、資料を見る楽しさを語ってくださいました。

「機会があれば伊勢の斎宮歴史博物館へも足を運んでみてください。あそこは"わかりやすい展覧会"を目指していますから」と、同館で平成14年に開催された際、一般の人が手作りしたという「伊勢物語展」の図録を紹介されて、『伊勢物語』の講義に入られました。

本日は、『伊勢物語』の「かはづ」についての解釈を中心に話が進められました。先生は「いろいろな現代語釈があり、わかったような気になって読んでいますが、実はなんだかよくわからないのが実情です」と、二七段と一〇八段を一緒に読むことで、深読みできると提案されます。

そしてまず、「かはづ(蛙)」は何の喩(たと)えなのかを探っていき、「女のところに通う男」と読みました。その際、「かはづさえ」の「さえ」は「...まで」という<添加>を表すが何に何を添加するのか、「たらひのみなくち(水口)」とはどこか、そもそも「たらひ」とは何か、などと問われ、受講生の皆さん頭をひねっていらっしゃいました。

ちなみに、「たらひ」は「手洗ひ(たあらひ)」が二重母音を避けたもので、「元は手を洗うものだったのに足まで洗うようになりましたね」との先生の言葉に教室は沸きました。母音の話は<いろは歌>まで及び、平安時代中期まで「ん」の発音はありましたが表記はなく、「天気」は元々「ていけ」であり、「冷泉(れいぜい)」はその名残り、など興味深い話が聞けました。

結局、二七段と一〇八段は、多くの男性を泣かすしたたかな女とそれに振り回される男の姿を描いているようだということになり、「皆さんが王朝文学に対して持たれている夢を潰したかもしれませんね。でも男女の仲って、今も昔も変わりなくどろどろしてるんじゃないでしょうか」と先生。

講義終了後、受講生から「講義中に出た与謝野源氏も、和歌以外は創作ということですが万葉集の英訳などは?」と質問があり、先生は「日本語に対する理解度によって、そのニュアンスが異なってくると思います」と答えられました。その方は「翻訳者にもよると思いますが、より深い作品になる可能性だってありますね」と話されました。

第65回正倉院展の最終日の本日は、秋雨がぱらつく寒い日となり、講座室である食堂には暖房が入れられました。旧居では、庭の百日紅(サルスベリ)が紅葉し、白の山茶花(サザンカ)が咲き始めました。二階の書斎の窓辺では、庭の柿で作ったつるし柿が日ごと連の数を増やしています。

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