学校法人奈良学園

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◇2013-10-04 (金)

平成25年度 秋期特別講座
「志賀直哉・美術・宇宙の神秘」(全7回)の第4回を開催

  • 平成25年度 秋期特別講座<br>「志賀直哉・美術・宇宙の神秘」(全7回)の第4回を開催
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本学園のセミナーハウスである志賀直哉旧居で秋期特別講座「志賀直哉・美術・宇宙の神秘」第4回を開催しました。この講座は、この地の芸術や文学に残る貴重な遺産を継承するために、6年前に発会した"白樺サロンの会"有志を講師に開かれるものです。第4回目の本日は、旧居の隣人で洋画家の中村一雄氏に「ノスタルジア ウイーン」と題し講義を行っていただきました。

中村先生は、今年6月、35年ぶりに中央ヨーロッパを旅行されたときの話をしてくださいました。ひと月間、友人のマンションに滞在して各地をスケッチして回られたそうです。ウイーンでは実に10日間、地べたに座って描き続けるという"大道芸人"もしてこられ、「私はいつも実際に現地に立って得た感動からイメージを膨らませてその場で描くのを信条としていますから」とのことでした。

ウイーンは東西の狭間であり、かつてフビライが感銘を受けた地ということで「ひょっとしたらハンガリー(フンガリー)とフィンランド(フンランド)に蒙古系の顔の人がいるのでは」という関心事と「映画『第三の男』の舞台を見てみたい」からという理由で旅されたそうです。先生はいくつかの失敗談も交えながら、現地で見たこと感じたことなどを話され、受講生はその一つひとつに興味深く聞き入っておられました。

「プラーターの大観覧車にも乗り、下水道のマンホールも見てきました」「感心したのは、日本と違って看板もご当地饅頭もなくて、そのときのままの風景が残されているというおしゃれさです」と先生は続けられます。「ブルグ公園では赤ちゃんの誕生を祝う集いに遭遇しました。また、毎年ワルツの催しがあることに感じ入り、すぐさまデッサンしました」とその作品を回覧されました。

オペラハウス舞台横でのスケッチを許されるという念願のチャンスに恵まれたこと、友人のマンションで出会った画家の画風、失敗から生まれた絵のヒントなど、楽しく思い出深かった旅の話を旅日記として披露されました。現地を訪れたことがあるという受講生もそうでない方も、皆さん先生と一緒にその地を歩いていらっしゃるかのような雰囲気の教室でした。

先生はまた、今年3月に被災地の見舞いとして石巻を訪ねられた話もされました。直哉は父直温が銀行の支店長で石巻赴任中に生まれ、2歳まで石巻で育っています。志賀直哉ゆかりの碑の健在も確認してこられ「記念碑の類を拒んだ直哉でしたが、この旧居同様、彼の作品としての価値と見ていいのでは」と結ばれました。

講義後、受講生から「現場での感動・制作を大切にされる先生のお話を、こんな素敵な場所で聴けてうれしいです」との感想が述べられると、「100号のキャンバスも近くの森へ持ち込んで描いています」と皆を驚かせられる先生でした。

ぐっと涼しい朝を迎えた本日、旧居の南庭では秋明菊やホトトギスが白く清楚な花を咲かせ始めました。

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