学校法人奈良学園

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◇2013-09-30 (月)

古典講読講座《徒然草》後期第1回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《徒然草》後期第1回を開催しました。講師に、かつて本学園の奈良学園高等学校で教師をされていた吉村治彦先生をお招きし、前期に続き来年2月まで月1回のペースで『徒然草』(吉田兼好/角川ソフィア文庫)を読み解いていきます。

本日は『徒然草』の講義に入る前に、特別企画「文学散歩~『徒然草』(兼好法師)を歩く~」の案内がありました。前回の受講生へのアンケートをもとに、先生が練ってくださったものです。実施は12月2日(月)と決まり、コースの説明がありました。受講生の中にはその場で申し込みされる方が多数おられました。

続いて、恒例の「ちょっと気になることば(言い方)」シリーズ③として、<接続助詞「ので」と「から」(原因・理由・根拠)の用法>についてのミニ講座がありました。「ので」は、<暑いので冷たいものを飲み過ぎる>のように、活用形の連体形に付いて<自然の成り行き>で後の結果になることを示します。「から」は、<疲れたから、休もう>のように活用形の終止形に付いて原因や理由などを示す言葉です。

すなわち、「ので」は、事態の因果関係を客観的・説明的であるのに対し、「から」は、後の主観的表現に関わる理由付けの意識が強いということでした。先生は「それはそれとして気になるのは、<ので>と<から>の敬語表現です」と話され、「TVなどで報道陣のインタビューに応えて、<がんばるので(んで)、応援よろしくお願いします>というのは、いかがなものでしょうか」と投げかけられました。

「これは、<がんばりますので(んで)、応援よろしくお願いします>と、敬体(下線部)にすべきですね」と正され、「人間関係がしっくりいかなくなるのも、ちょっとした言葉遣いに起因します。少しだけ心にとどめておいてほしいです」とのことでした。

『徒然草』は、前期最終回の<人間の欲望――苦悩の根源>のまとめからでした。兼好は、人生の平穏を乱す人間の三大欲望(1)名声(欲)(2)色欲(3)食欲 を挙げ、「人間はそれらを求めないのに越したことはない」と言い、先生も「同感です」と進められます。

そして「ちょっと横道にそれるかもしれませんが」と前置きして、昨今の乳幼児虐待問題を取り上げられました。「精神の成熟していない幼稚な大人に身の毛のよだつ嫌悪感を持ちます」と話され、『徒然草』の中の関連部分の3箇所を列挙し読み解かれました。

そこはテキストの文庫本には載っていない段で、先生が用意されたプリントによる第128段、123段、18段でした。兼好は、後宇多院のエピソードで「鳥獣虫の類まで、すべての生き物に慈悲の心が無い人は、人間とは言えない」と記し、「食べ物・着るもの・住むところ・薬(病のとき)さえあれば幸福に生きられる」と言います。

そして、古代中国の故事「許由一瓢(きょゆういっぴょう)」「孫晨藁席(そんしんこうせき)」を引用して「幸不幸は相対的なもの。何に価値観を見出すかだ」と述べます。先生は、「現代社会に対し、兼好の嘆きが聞こえてくるようです」と、ご自分も同様の意を示されて本日の講義は終わりました。

季節は進み、秋の気配が日々濃くなってきています。旧居の庭では、ススキの穂が開き柿の実もわずかに色づいてきました。

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