学校法人奈良学園

ニュース & トピックス
ニュース & トピックスニュース & トピックス

ニュース & トピックスニュース & トピックス

◇2013-08-26 (月)

古典講読講座《徒然草》第5回を開催

  • 古典講読講座《徒然草》第5回を開催
  • 古典講読講座《徒然草》第5回を開催
  • 古典講読講座《徒然草》第5回を開催
  • 古典講読講座《徒然草》第5回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《徒然草》第5回を開催しました。講師に、かつて本学園の奈良学園高等学校で教師をされていた吉村治彦先生をお招きし、来年2月まで月1回のペースで『徒然草』(吉田兼好/角川ソフィア文庫)を読み解いています。

本日も、『徒然草』の講義に入る前に、「ちょっと気になることば(言い方)」シリーズ②として、<形容詞「すご(凄)い」の意味・用法>についてのミニ講座がありました。「すごい」は程度が並々ならないことを示す言葉で、「すごい勉強家」などのように大抵がプラスの意ですが、「すごい人」のように、マイナスに取れるものもあるので、ちょっと心に留めておいてほしいとのことでした。

『徒然草』は、前回の<私たちの快適な日々の暮らし>で持ち越した(4)人生を豊かにしたい酒 から始まりました。お酒のことについては175段に長々と書かれています。酒飲みの狂態と酒擁護論ですが、結論としては"心を狂わす「深酒」、心を通わす「一献」"と現代にもぴったり当てはまる内容です。先生は「私もお酒は好きです」と笑い、「人生に潤いをもたらしてくれる重大な道具です」と話されました。

さて本日のテーマは<人間の欲望――苦悩の根源>でした。われわれの生活から快適さを奪うものとして兼好は、三大欲望(1)名声(欲)(2)色欲(3)食欲 を挙げています(242段/先生のプリント)。「人間は求めないのに越したことはない」と言い、先生も「全く同感で、考えさせられます」「でもなかなかできないから悩むのですが、兼好はずばり言い切っています」と進めていかれました。

兼好によると、人は名声(名誉)欲を持つが、いずれ死ぬし、それを知る人も死んでいくものだ(38段/先生のプリント)とし、物欲(金銭欲)も死後は、残したものによって人間の品定めをされる、価値の高いものは争い(遺産相続)の因となる(生前の心得:140段)と続きます。ここで「しかし意欲・発展のために欲望も必要なものだという考えもあるでしょうね」と先生。

三大欲望について『徒然草』を"拾い読み" (先生談)していきましたが、「物欲についてはしっかり書いている兼好ですが、なぜか色欲については歯切れが悪いのです。食欲に至っては触れていないのが面白いです」という先生の言葉に、受講生は思わず爆笑です。ここで時間切れとなり、その色欲、食欲については次回のお楽しみとなりました。

本日は、一昨日のゲリラ雨の影響で猛暑も一服、といった状況での教室で、受講生の皆さんは暑さに邪魔されることなく先生の話に集中されていました。また、今秋か来春に予定されている特別講座「文学散歩~徒然草~」企画の希望アンケートが取られ、皆さん京都へ兼好法師ゆかりの地を訪ねる小旅行への期待を込めてつぶさに書き込んでおられました。

旧居の庭では、猛暑の中、今年もお盆あたりから夏水仙が薄ピンクの清楚な花をつけ、見学者の目を楽しませました。柿も実を太らせ、秋の色づきが待たれるこのごろです。

▲ページトップ

Copyright (C) Naragakuen. All right reserved.