学校法人奈良学園

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◇2013-07-22 (月)

古典講読講座《徒然草》第4回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《徒然草》第4回を開催しました。講師に、かつて本学園の奈良学園高等学校で教師をされていた吉村治彦先生をお招きし、来年2月まで月1回のペースで『徒然草』(吉田兼好/角川ソフィア文庫)を読み解いています。

本日は『徒然草』の講義に入る前に、 "同じ言葉が、使う人、時代、地域などによって意味が異なるのか"という講座生からの質問を取り上げ、「あはれ」「をかし」を例に「言葉」のミニ講座がありました。それに関連し、「ちょっと気になることば(言い方)」シリーズ①として「ら」抜き言葉のテストがあり、時にアナウンサーも使い、私たちにも誤用が多い言葉の10例を挙げてその正誤を示されました。

さて本日のテーマは<私たちの快適な日々の暮らし>。先生は「真の快適性」を追及した暮らしに対する兼好の考え方として(1)満足のいく"住居と庭"(2)品の良い"持ち物・インテリア"(3)"ペット"の飼い方(4)人生を豊かにしたい酒 の4項目でその関連の段の"拾い読み"(先生談)を進められました。

まず、「満足のいく"住居と庭"」では、<住まいは人なり>(10段)として材質・調度・環境が自然な雰囲気がよく、夏過ごしやすい造り(55段)を提唱、庭木も珍奇なものを批判(139段)しています。

次に「調度・インテリア」では、古くて控えめなものを良しとし(81段)、<未完の完>(82段)として不完全なものを時間をかけて完成させていくことがいいのだとしています。その過程の楽しさ風流さを、先生のご趣味の油絵を例に話されました。下手な書や絵は、住む人の品格が疑われる(81段)とも兼好は書いています。

そして「ペット」です。ペットを飼うことは動物の自由を奪うこと、生活に不必要なものは飼育するな(121段)と、人間の身勝手さ、無責任な飼い方を批判(183段)しています。先生は、法隆寺をはじめ奈良県の寺社でアライグマによる被害が相次いでいることも挙げて、「まったく同感です! 思いつきで飼って、手に負えなくなると捨てるという無責任さ。飼い主の高いモラルが必要です」と強調されました。

そのペットの段の続きに<よき友、頓阿(とんあ)――ものくるる友>という項があり、当時和歌四天王と言われた頓阿と兼好の沓冠(くつかぶり)の贈答歌に、『伊勢物語』の折句を超える"粋"を読み取りました。

講義中、品格を疑われる調度品の箇所では教室に笑いが広がり、ペットの段では、大きくうなずく方々もおられました。なお、前述の139段、81段、183段はテキストの角川ソフィア文庫本にはなく、先生がコピーを用意してくださったものです。4番目の「お酒」については、惜しくも時間切れとなり、次回8月26日に予定の<人間の欲望>前のお楽しみとなりました。

講座終了後、北森貞次館長から、恒例の秋期特別講座(9/13~10/25の毎週金曜午前/10/18は午後)の案内があり、早々に申込をして帰途に就かれた方が多かったようです。旧居の庭では、ほおずきが色づき、桔梗が涼やかな花をつけ、ムラサキカッコウアザミ(写真右)が薄紫の可憐な姿を見せ始めています。

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