学校法人奈良学園

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◇2013-03-25 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第11回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第11回(最終回)を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んできました。

最終回の本日は「平家十二之巻」からで、平家滅亡の内容でした。例によって梗概(目録)の「大地震」「紺掻之沙汰(こんかきのさた)」「平大納言被流」「土佐房被斬(きられ)」「判官都落」「吉田大納言沙汰」「六代」「泊瀬六代」「六代被斬」を読んで、壇浦の戦い後、平家一門が絶え果てるまでを追いました。ここでは、大地震や暴風ほか、身に降りかかった災いなどが怨霊のせいにされている表現が多く出ました。

梶原景季の讒言(ざんげん)により頼朝は義経を疑い、異母弟の範頼に義経討伐を命じます。が、範頼は辞退し討たれます。義経は都落ちを決意しますが、頼りの縁者共々、追討の院宣により、討ち滅ぼされます。先生は「お気づきのように、平家物語では、あの弁慶や静御前の登場がありません。後に『義経記』などで『平家物語』を補っているのが面白いですね」と話されました。

平家の残党狩りは、平家の子孫を見つけた者には望みどおりの報奨金を出すとして行われ、褒美欲しさにでっち上げ申告で無関係な幼子らまで犠牲になりました。そんななか、維盛の息子・六代は京都嵯峨の大覚寺の北に隠れ住んでいたのを見つかり、北条四郎時政に捕まりますが、文覚が頼朝に嘆願し、処刑寸前のところで助かり、文覚預かりの身となります。当時12歳でした。

嵯峨での記述は、先生が「ここは『源氏物語』の<若紫>を思い出してください。まねていますね」と話されるほど情景描写が酷似しています。

六代はそれから18年間生き延び、高尾で修行していましたが30歳の時ついに討たれます。重盛の子・忠房と宗実もそれぞれ頼朝に召喚され、斬られたり断食したりして命を落とします。そのうち、後白河法皇が崩御。専横政治をしていた後鳥羽天皇への謀反を企てていた文覚は、頼朝の死後すぐに捕らえられ隠岐に配流。知盛の子・知忠も責められて自害、盛嗣も斬られて、平家の子孫は絶えることになります。

さて、平家物語の最後は「灌頂巻(かんじょうのまき)」で、建礼門院のその後を描いた巻です。梗概によると、「女院出家」「大原入」「大原御幸」「六道之沙汰」「女院死去」で構成されています。壇浦で心ならずも助け上げられ、東山山麓に隠栖(いんせい)していた建礼門院は出家、その御戒の師への布施は、我が子(安徳天皇)の御直衣(のうし)で、それは長楽寺の幡とされたとありました。

その建礼門院の閑居のある大原に後白河法皇が訪ねる下りもありました。使用人がするようなことを女院がしており、女院は恥じ、法皇はその境遇に涙するというところが描かれています。最後の「女院死去」は受講者全員での音読で終わりました。父祖(入道相国清盛)の罪業が子孫に報いた<因果応報>の栄枯盛衰であったと記され、女院は阿弥陀如来に救いを求め、御念仏を唱えながら往生を遂げたとあります。

平家物語を読み終えると、先生は笑いながら「それでは、古典を学ばれた皆さんに試験をします」と、このたび日銀の総裁になられた黒田東彦氏の名が坂書され、「さてなんと読むでしょう?」と問いかけられました。そして東西南北の図を基に、古典では「東」を「はる」と読み、「春」を「とう」と読むことがあると、過去に学習したことを振り返って本講座は終了しました。

受講生の皆様から「楽しかったです。やっと平家物語を読みきったという思いです」「今後もまた、北森先生の古典講読講座を設けていただけることに期待しています」との感想が聞かれました。

奈良では先週末に氷室神社のシダレ桜が満開となり、ソメイヨシノの開花発表がありました。寒の戻りで花冷えのする日もありますが、旧居の春も満開です。ヤブツバキに続いてバイモユリ(貝母百合/写真右)が凛とした花姿を見せ、オガタマノキ(招霊木)も白くかわいい花をたくさんつけました。玄関では八重咲き紅梅が華を添えています。

当館では4月14日(日)13時から、サロンコンサート「邦楽の調べ」(琴 吉村歌裕美社中、尺八 中山優雨山氏 語り・司会 上野美智子)を開催します。コンサートは無料ですが、入館料(350円)が必要です。お誘い合わせの上、お越しください。

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