学校法人奈良学園

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◇2013-03-18 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第10回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第10回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

講義に先立ち、受講生の一人が持参された、志賀直哉が懇意にしていた東大寺の上司海雲師に宛てた直筆書状(写真右下)や当時の写真(共にコピー)の披露がありました。直哉が東京へ転居後も上司師のところを常宿にして奈良を訪れていた頃の消息文です。先生によると、直哉の消息文は1000通ぐらいあるそうで、公開など今後の展開が楽しみです。

本日は「平家十之巻」からでした。梗概(目録)「首渡」「内裏女房」「八島院宣」「請文」「戎文」「海道下(くだる)」「千手前」「横笛」「高野巻」「維盛出家」「熊野参詣」「維盛入水」「三日平氏」「藤戸」「大嘗会之沙汰」からなる巻ですが、先生はこの梗概を読んでこの巻の大きな流れを説明されました。東大寺大仏殿を焼き討ちした重衡の最期と、あの妻子を都に残して都落ちした維盛の最期などが描かれています。

重衡生捕りに際しては、母・二位殿による命乞いや愛人・内裏女房との対面のいきさつが記され、維盛の出家・入水に至るまでの先達・滝口入道とのかかわり、妻の後追い出家などの内容となっています。あらすじを追った後、先生は「皆さんお気づきのように、義朝を父とする3人の異母兄弟、頼朝、義経、範頼の勢力争いになっていきます。その中心が頼朝です」と、その詳細を説明されました。

この巻で読んだ本文抜粋は『横笛』でした。前述の滝口入道が小松殿に仕えていた頃の、横笛という女性との悲恋物語ですが、先生がこの段を選ばれた理由は、「京都の滝口寺とか、奈良の法華寺など、ゆかりの地を訪ねられることもあるかと思って」とのことでした。

次の「平家十一之巻」も、梗概であらすじを追いました。「逆櫓」「勝浦」「嗣信最期」「那須与一」「弓流」「志度合戦」「鶏合 壇浦合戦」「遠矢」「先帝身投」「能登殿最期」「内侍所都入」「剣」「一門大路渡」「鏡」「文之沙汰」「副将被斬」「腰越」「大臣殿被斬(きられ)」「重衡被斬」の順です。

この巻では、梶原景季と義経の争いが始まります。先生によると景季はかなりの曲者で、義経を誹謗(ひぼう)し、讒言(ざんげん)によって頼朝と義経の仲を違わせます。「いよいよ大詰めです。あまりにもポピュラーですので皆さんで読んでください」との言葉で、受講生全員で『那須与一』を音読しました。
みなさん、情景を思い浮かべられながらでしょうか、よどみなく読み進まれました。

次に『先帝身投』です。二位殿が孫である8歳の安徳天皇を抱き、神璽(しんし/勾玉)と宝剣と共に「浪の下にも都のさぶらふぞ」と海底深く沈んだという段。よく心得ている内容とはいえ、受講の女性たちからはため息が漏れていました。

本日も先生の読み下しや受講生の音読で進められた後、先生から「平家物語には二つの流れがあります。一つはあの"祇園精舎の鐘の声・・・"の無常観、もう一つは武士たちの見事な戦いぶりです」と話されました。また「何人もの琵琶法師が、全国でその地方地方を持ち上げる形で鎌倉武士の活躍を語ったのだと思います」と続けられました。

本日は天気予報で春の大嵐予報が出されていたにもかかわらず、25名の出席があり、次回で最終となる『平家物語』の大詰めを楽しんでいらっしゃいました。旧居の庭では春が一気に進み、梅に続いて水仙、馬酔木が満開、藪椿(ヤブツバキ)も一輪、二輪と素朴ながらあでやかな姿を見せ始めました。

当館では4月14日(日)13時から、サロンコンサート「邦楽の調べ」(琴 吉村歌裕美社中、尺八 中山優雨山氏 語り・司会 上野美智子)を開催します。コンサートは無料ですが、入館料(350円)が必要です。お誘い合わせの上、お越しください。

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