学校法人奈良学園

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◇2013-02-25 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第8回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第8回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

「いつまでも寒いですが、春の兆しが・・・」と季節の挨拶で講座を始められた先生、春を表す言葉をいくつか挙げられた後、「古典で春を表す言葉は"光"です。そして秋は"風"です。でも皆さんは、それぞれに季節の特徴を感じてくださいね」と話されました。

さて本日は、『忠度都落(ただのりのみやこおち)』です。薩摩守忠度が、歌の師・藤原俊成卿(『千載集』の選者)に形見の歌を託して都落ちする場面です。「これは平家物語の中でも有名で教科書古典になっているほどのところなので、皆さん声に出してお読みください」という先生の指示により、受講生全員で音読しました。

音読が終わると「お読みになってわかるように、和漢混淆文(わかんこんこうぶん)で歯切れよく、感動的な内容が人口に膾炙(かいしゃ)する由縁です」と先生。また文中で「候」を「そうらふ」と澄音で読むときと「ぞうらふ」と濁音で読むときの意味の違い(濁るのは理由を示すとき)を説明されました。そして「候」の多用について、源氏物語では「侍(さぶらふ)」が多いことを指摘、同じような意味だが時代によって異なるとのことでした。

続いて、『一門都落』は先生のリードで進められました。頼盛(清盛の父・忠盛と池禅尼の子)は、頼朝に好意をもたれており(幼い頼朝を助命したのは池禅尼)、赤じるし(平家の印布)を切り捨て八条女院を頼るが、「今は世の世にてもあらばこそ」といわくありげな返答。実は忠盛、清盛の命で、以仁王の子を預かった八条女院からその子を奪っており、女院はそれを恨みに思っていたのでした。

先生は、皇室の系図を坂書で示し、「八条女院は結局、源平どちらにもつかず、皇室の立場を守ったのです」と説明されました。続いて「平家九之巻』に入り、義経・義仲の対戦『宇治川先陣』、義仲が討たれる『木曾最期』まで読みました。『宇治川先陣』の「此(ころ)は正月廿日あまりの・・・」からは、「ここも名文です。対句、五音や七音を意識しながら読めばそれがわかります」と一斉音読を指示されました。[→資料

義仲は、乳兄弟の今井四郎兼平と共に大津の地で、多勢に無勢の中、果敢に戦って敗れます。「義仲は、なぜ報われなかったのでしょうか。不器用な上に頼朝の人格が良くなかった。歴史家が評価する頼朝ですが、私はいい人ではなかったと思います。このあと異母弟・範頼に同じく異母弟の義経追討を命じますし・・・」「義仲のこの壮絶な戦いぶりが、芭蕉に慕われることになったのでしょうか」と先生は結ばれました。

次回は3月11日です。外気温7℃とまだまだ真冬さながらの寒さですが、旧居のサンルームの天窓から降り注ぐ"光"はやわらかく、南庭では白梅のつぼみがふくらんで数日中にも開花しそうです。

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