学校法人奈良学園

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◇2013-02-18 (月)

後期近代文学講座第7回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期近代文学講座「文学表現の諸相」(全8回)の第7回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

本講座では、「文学表現の諸相」をいろいろな作品から読み取っています。本日、サルトルの『壁』を読むにあたり、先生は「なぜこういう作品が生まれたのか、その時代背景が重要です」と文学史の大きな流れの説明から入られました。

それによると、ギリシャ、ローマの時代から現代まで書かれてきたのは、「心の衝迫の表出」で、それは"真善美"、 "人間存在"を問うもの、そして"人生の断面・時代相"や"愛・喪失(死)"が素材や動機になっているものである、と話されました。

そして、ギリシャ神話、シェイクスピアなどを例に、時代が"エポック"となった時期があり、ヘミングウェイに代表される19世紀末から20世紀初めの、世紀末・世紀初めの"ロスト・ジェネレイション"へ、そして第二次大戦後、"アイデンティティ"という言葉に代表される社会的混乱の時代へと続いた、とのことです。

"ロスト・ジェネレイション"については『世界文学事典」(集英社)を、"アイデンティティ" については、佐野山寛太『現代広告の読み方』(文春新書)を資料として用意されました。それを基に、社会状況が自由謳歌となった戦後、 "アイデンティティの危機"が問われ、世の中が人間存在を問う"自分探し"時代に至った 経緯を説明されました。

以上の話に続いて、"人間存在=実存"の代表作家であるサルトルの作品『壁』のストーリーを追っていきました。明朝には処刑されるという人間の限界状況を設定し、彼は何を表出したかったのか。「一つには、限界状況の中で人間は何を考えるのか。いま一つは、人生や人間生活には"偶然"がかかわってくる ということだ」とまとめられました。

朝から冷たい雨が降りしきる講座日となりましたが、本日も熱心な受講生で教室は満席、皆さん、先生の話をひと言も聴き漏らすまいと、目で活字を追いながら耳を傾けておられました。次回3月4日は、戦後生まれの女流作家で初の芥川賞受賞作家・高樹のぶ子の描く世界を学びます。

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