学校法人奈良学園

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◇2013-02-11 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第7回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第7回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

本日は、前回の実盛(さねもり)の最期を今一度振り返りました。彼がなぜ白髪を染め若作りにして源氏と戦ったのか。「一つには、老兵ということで若武者に見くびられたくない、同情されたくないとの思いですね」「いま一つは、過去に義仲の命を助けたことで恩を着せたくないという潔さからです」「その心意気が武士の鑑として後世の人に慕われ、日本人の遺伝子として流れてきたのでしょう」と先生。

続きは『主上都落(しゆしやうのみやこおち)』です。義仲の軍勢が都の周辺に集結、今にも攻め入りそうとの報に、平家は大騒動となります。清盛の息子の知盛(とももり)、重衡(しげひら)をはじめ、甥の通盛(みちもり)、教経(のりつね)らが大将となって諸方の守護に出向きますが、諸国にそむかれた今は皆固まろうと呼び戻されます。

そして、院(後白河法皇)も天皇(安徳天皇)も一緒に西国へ落ちようと計画したのに、院は平家を捨て鞍馬(源氏方)へ単独御幸、6歳の天皇が国母の建礼門院と共に、内侍所(ないしどころ/鏡)、神璽(しんし/勾玉)、宝剣(三種の神器)を携えての行幸となります。さらに、摂政の藤原基通(もとみち)までが、平家の行く末に不安を抱いて北山の知足院へ逃げ込みます。

先生は、登場人物が一気に増えた場面を進むにあたり、武官の役職制を説明し、平家系図での係累確認を促しつつ読み進められました。また「一乗」など注釈だけでは読みきれない言葉や古語の文法の説明、現在と異なる発音の変化などを随所で指摘しながら、緩急をつけて読み下していかれます。

次に『維盛都落(これもりのみやこおち)』です。重盛の息子で清盛の嫡孫ですが、皆妻子を同道して都落ちするのに、彼だけは妻子を置いていこうとするその別れの様が描かれます。ここは、かな文字の平明なくだりなので、受講生の音読で進められました。「都落ちにもいろいろなタイプがありますね。勇猛な武士と思われていた彼にも心理的に弱い面がありました」と先生。

平家は都落ちの際、六波羅以下一族の屋敷などを焼き払っていきました。その段の終りに、維盛の妻子・女房たちが別れを悲しみ泣き叫ぶシーンで「此声々(略)西海のたつ浪のうへ、吹く風の音までも聞く様にこそ思われけめ」とあるのですが、「文学作品だけに、ここは西海での様子を予告する伏線となっていますね」と先生から指摘がありました。

次回(2月25日)は、『忠度都落(ただのりのみやこおち)』からです。建国記念日で三連休の最終日でしたが、教室は今日も満席、皆さん、先生の話に相槌を打ったりメモを取ったりしながら古典に親しむひとときを楽しまれたようです。庭で咲いた水仙が教室を彩り、某山野草の会から時折届けられ、旧居の一隅を飾る山野草に、珍しい「ヒトツバ シモダレ」が仲間入りしました。

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