学校法人奈良学園

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◇2012-12-24 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第5回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第5回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

本日は、『小督(こごう)』(平安次代末期、高倉天皇の後宮の女性)の終章からです。嵯峨で小督を探し当てた仲国が宮中に戻り事の次第を報告すると、高倉院は「今夜連れて参れ」と。なだめすかして連れ帰られた小督は、内裏の人目につかないところで院の寵愛を受けるうち姫の誕生となりました。それらは入道相国の知るところとなり、小督を捕らえて出家させます。高倉院は心痛で崩御されたとありました。

続いて「六之巻」に入るのですが、「七之巻」の目録も含めてざっと物語の展開と主要人物の説明の後、『入道の死去』を読みました。先生は、古語の意味や「ウ音便」「同行通韻」など文法表記に留意しながら読み進められました。

平氏に背いて源頼朝側に付いた四国の河野四郎や熊野別当・湛増に関連して、源行家の波乱万丈の生涯にも話が及び、受講者の皆さんは興味津々の様子で耳を傾けられました。清盛の最後は、「あつし死」(高熱で悶絶死)で、その凄惨さが描かれていましたが、ちょうど前日の大河ドラマの最終回がこの場面であったため、その映像と重ね合わせて聴かれる方も多かったようです。

「清盛供養のために皆さんで音読してください」とのことで、受講生一同、声をそろえて読まれました。「清盛は、天皇家と藤原家、武家の三者の権力闘争の中で頑張った、ある意味英雄ですね。しかし時代が味方しなかった」「清盛の罪は、天皇が建立した東大寺を息子の重衝(しげひら)に焼き討ちさせたこと、そして後白河を幽閉したことですね」と先生。

続いて「後白河は、藤原家や平氏、頼朝と、時の権力者を利用しては切り捨てて時世を泳いだ一見悪人ですが、天皇家としてそうせざるを得なかったのでしょう」と話し、「平家物語は、清盛の死後が平家物語らしく面白くなるのですよ」と、「七之巻」の『清水冠者』に入られました。

頼朝と木曾義仲が険悪になり、開戦寸前で義仲が11歳の嫡子・清水冠者義重を人質に差し出したことで、頼朝は義仲を許し一件落着しました。文中に登場する十郎蔵人(源行家/新宮出身)は、源頼政に促されて平氏打倒に加わった人物ですが、甥である頼朝の配下に付くのをよしとせず、義仲に付いて、結局負け戦をしたという話もしていただきました。

「この段は短いですが重要です」と話され、清水冠者のその後の顛末にも話が及んだところで時間となりました。続きは次回(1月28日)で、先生によれば「平家物語の醍醐味を味わっていただきます」とのことです。

朝から降雪注意報が出されるほどの冷え込みでしたが、20名を超える出席者がありました。旧居では、居間の軒先にツボハチの巣がかかっていました。直径10cm余りの壺型の泥製の巣です。蜂の姿はありませんでしたが、暖かくなってどんな蜂だか知るのが楽しみなような怖いような・・・。本日は本年最後の講座とあって「よいお年を。来年もよろしく」と挨拶を交わして帰途に就かれました。

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