学校法人奈良学園

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◇2012-12-10 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第4回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第4回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

本日は、『奈良炎上』の続きからです。奈良興福寺の大衆の蜂起を鎮めるため、入道相国(平清盛)は、瀬尾太郎兼康の軍勢500騎を向けます。「衆徒は狼藉をいたすとも、汝等はいたすべからず。物具なせそ。弓箭な帯しそ」と厳命されていた平家方が無抵抗なのをいいことに、衆徒は兼康陣の60余人を捕まえ首を切って猿沢池半に並べ、さらしました。

これに激怒した入道相国は、重衡以下4万余騎で南都を攻めさせます。平家は大衆が待つ奈良坂、般若寺を攻め落としました。夜戦になり、暗いので民家に火をかけたところ、12月28日のことで強風にあおられ瞬く間に猛火となり東大寺大仏殿や興福寺まで押し寄せました。大仏も溶け落ち、興福寺の塔2基をはじめ仏像・経典類もことごとく灰塵に帰しました。

入道相国は喜びましたが、中宮時子、後白河法皇、高倉上皇、摂政基通以下の人々は「悪僧をこそほろぼすとも、伽藍を破滅すべしや」と嘆きました。先生は、わかりづらいと思われる言葉の補足や文法上の解説をしながら一気に読み進めた後、「ここは奈良にちなんだ章なので、最初から皆さんでゆっくり音読してみてください」とおっしゃいました。

受講生全員、大きな声で一言一句をしっかりと読みながら、今一度ストーリーを追っていきました。続いて先生は「殺伐とした戦の内容でしたので、次はとっても色っぽいのにいきます」と話され、『葵前(あおいのまえ)』と『小督(こごう)』に進みました。

『葵前』は、高倉上皇が心を寄せた上童(中宮に仕える女房の召し使いである少女)・葵前の話で、それが宮中の噂になったので「天皇たるもの、後世の人のそしりを受けては」と、その恋をあきらめたという内容です。が、葵前はそれが因で病死してしまい、打ち沈む天皇を慰めようと、中宮が小督という女房を差し向けます。

小督は比類の美人で琴に秀でた女性ですが、元は冷泉大納言隆房卿の少将時代の恋人でした。隆房は未練から小督の局周辺をうろつき歌を贈る場面もありました。高倉天皇と隆房という二人の婿を取られた入道相国は、小督殺害を図ります。これを知った小督は姿を消し、天皇は落涙の毎日。ある秋の夜、宿直の家来・仲国が、小督が隠れ住むという嵯峨野で琴の音を頼りについに探し当てます。

「次は物語のなかでも名場面なので、皆さん読んでみてください」と先生に言われ、「をしか鳴く此山里と詠じけん、・・・」から「・・・龍の御馬にうち乗ッて、内裏へかへり参りたれば、ほのぼのとあけにけり」まで、声をそろえての音読でした。皆さんは古語にもすっかり慣れてこられた様子で、その絵のような美しい場面を想像しながら朗々と読まれていました。続きは次回(12月24日)です。

先週末からの寒波で震え上がるほどの寒さでしたが、旧居サンルームの天窓からは時折日が差し込み、受講生の気持ちをほっこりさせてくれました。平家衰亡の因となった『奈良炎上』を読み終えた皆さんは、物語の展開を楽しみにして帰途に就かれました。

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