学校法人奈良学園

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◇2012-11-26 (月)

後期古典講読講座《平家物語》第3回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期古典講読講座《平家物語》第3回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

明け方から本降りとなった雨の中、今日も20名を超える受講生が出席されました。本日は、前回に続いて「平家五之巻」の文覚上人の役どころで、『勧進帳』『文覚被流(ながされ)』『福原院宣』『奈良炎上』を読みました。講義は、受講生が音読しては、先生が解説を加えるという形で進められます。

先生によると、文覚上人は、頼政と同じ摂津源氏の流れを汲む武士で、名を遠藤盛遠と言いました。映画『地獄門』(原作は菊池寛『袈裟と盛遠』)で知られるように、人妻に横恋慕した末相手を殺してしまった顛末を悔いて19歳で出家、神護寺をはじめ、東寺、東大寺、高野山大塔や江ノ島弁財天などを再興した人物です。

そして何よりの功績は、鎌倉幕府成立クーデターに大きく関与したということです。神護寺の再興を後白河法皇に強訴し、伊豆に流されますが、そこで幼馴染の頼朝に義朝の髑髏(どくろ)を示して決起を促し、後白河法皇に平氏追討の院宣を出させました。天性不敵第一の荒聖(あらひじり)として描かれた彼は、伊豆と京を8日間で往復し、その院宣を頼朝に渡します。

先生は、古語表記の「おれら(己)」は「あんたら」ということで、「お前」は「おん前(私)」であるように時代により人称が変わることや、「にらまへ(ふ)」の「ふ」がその動作の継続を示すと要所で説明、「そういう読み取りをすることで情景が目に浮かべられます」と話されました。また随所で平家物語が単なる歴史ものではなく文学作品的だとの指摘もありました。

文覚上人については、重盛の孫(維盛の子)の高清(六代)をかくまったこと、頼朝死去後に佐渡へ配流、六代は処刑され・・・、と天皇が変わるたびにその運命も変わったとのことです。続く『奈良炎上』では、興福寺や猿沢池、奈良坂、般若寺など、皆さん馴染みの地名が頻出、音読にも力が入りましたが、途中で時間切れ、続きは次回(12月10日)です。

旧居の庭では白の山茶花がたくさん花を付け、池畔と中庭の美男蔓(ビナンカズラ)の実が赤く色づきはじめました。中庭の紅葉も見ごろです。

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