学校法人奈良学園

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◇2012-07-23 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズIV》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《平家物語》第8回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

平家二之巻『小教訓』『教訓状』で、重盛が清盛にあらゆる故事や神仏の加護を持ち出して忠言したおかげで、新大納言成親とその子で丹波少将成経、俊寛僧都、平判官康頼は、一旦は死罪を免れ流罪となります。ところが成親は、一族に対する厳しい処分に前途を悲観して出家し、流罪地への途中、備中で悲惨な最期を遂げました。

一方、成経、俊寛、康頼の3人は薩摩の鬼界が島(現硫黄島)へ流されました。二之巻最後の『卒都婆流』と三之巻『赦文』『足摺』でこの3人の顛末が語られます。成経、康頼はその頃流行していた熊野信仰により、島に三所権現を祀り、毎日毎晩のようにお参りしていました。そして康頼入道が作って流した千本の卒都婆(卒塔婆)の一本が厳島に流れ着きます。

この卒都婆はさすがに清盛の心も動かしたようです。ところでその頃、清盛の娘で中宮徳子(建礼門院)の出産に際し、罪人への恩赦が持ち上がります。清盛は成経と康頼の2人については都への召し返しを認めますが、俊寛は許しません。迎えの船が島を離れるとき、置き去りにされる俊寛は半狂乱になり地団太を踏んで慟哭したと『足摺』にありました。

さて、徳子は無事皇子を出産、清盛は泣いて喜びます。ここで先生が、「娘のお産で大泣きした父親が2人います。それは、道長とこの清盛です」とおっしゃり、教室はどっと沸きました。本日も先生は、古語の表記や発音について、現代語や類語などを例に挙げてはその解釈を説明されつつ読み進められました。

「平家物語の面白さは、起きたことを時間経過で記す"編年体"と人物中心の"紀伝体"の両方で語られているからです」と話され、「戦後教育は、この"紀伝体"をおろそかにしたので歴史が面白くなくなったのです」とも話されました。

講座終了後、「今日の段はハラハラしながらも面白かったです。先生が与えてくださる豊富な知識をきちんとものにできたらもっといいんですけど」と、笑って語られた受講生もありました。梅雨が明け、連日30度を超す暑さで、旧居でも蝉が鳴き始めました。旧居の井戸の横に朝顔が咲き、庭の緑に鬼百合と百日紅がその鮮やかな朱と濃いピンクを点じています。

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