◇2012-06-09 (土)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居へ直哉の三女である寿々子さんが、長男夫妻、お孫さんら5人で来訪されました。寿々子さんはご高齢(92歳)のため、ご家族の手を借りながらの歩行でしたが、出迎えた西川彭理事長と北森貞次館長の案内で、朝10時半過ぎからお昼まで当館を隈なくご覧になりました。寿々子さんが来られるのは約70年ぶりとなります。
まずは食堂にご案内し、庭の柿で作った干し柿をお出しして一服していただきました。そして、理事長の話に耳を傾けうなずきながら、当学園が発行した『志賀直哉旧居の復元』の中の写真集に見入っておられました。
それから子ども部屋へ移動。展示された写真の一枚一枚に写る人物を指差しては、「これは○○、これは父。これ、私」と当時を思い出していらっしゃる様子でした。
寿々子さんは、「もう記憶もだいぶ薄れているけど、わたし、ここに住んでたのね」などとおっしゃりながらも、感慨深げにあちらこちらを見て回られました。そして随所で「しゃれた造りだわねぇ」を連発されました。
2階客間へも上がられ、前日「家から若草山が見えたのよ~」などと話されていたという窓際に腰掛けてみたり、直哉の書斎では、北面した書斎机の椅子に腰掛けてしばらくの間、額縁窓から前庭を眺めたりしておられました。
終始笑顔で過ごされ、帰り際には門の前で記念撮影後、旧居を後にされました。梅雨の晴れ間のこの日、旧居の木々の緑は濃く美しく、寿々子さんの70余年ぶりの"里帰り"を歓迎するかのような潤いを見せ、ご家族の方々も、「いい旅になりました」と喜んでおられました