学校法人奈良学園

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◇2012-06-11 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズIV》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《平家物語》第5回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

梅雨の晴れ間となった本日、旧居のうれしいニュースが発表されました。待ちに待ったモリアオガエルが前日(10日)産卵したというのです。「今年は庭の池中央の岩場に泡状の卵が産み付けられています。帰りがけにでもどうぞご覧ください」と案内がありました。

さて講座は『平家物語』の『御輿振』からです。
比叡山の大衆(だいしゅ:衆徒・僧兵)は、叡山と紛争を起こした藤原師高、師経兄弟(後白河法皇側近・西光の子)の厳罰を法皇に強訴するため、神輿を先頭に振りたてて京に入ってきました。平家が重盛ら3千余騎で東南と西の3門を、源氏が3百余騎で北門を守備するなか、大衆は守りの薄い北門から入ろうとすると、なんと源頼政は下馬し兜を脱いで神輿に拝しました。そして、「平氏が固める東の陣から入れば互いの名誉も傷つかない」という頼政の申し入れに、大衆は納得し、重盛が守る東門を進もうとしました。これに対して重盛方の武士は散々に矢を射かけたため、大勢の衆徒らは死傷を負い、神輿を放置したまま比叡山に帰還しました。

大衆の怒り甚だしく、再び後白河法皇と大衆の激突かと思われましたが、平大納言時忠卿が一紙一句をもって、比叡山3塔3千の憤りを鎮め、騒ぎは収まりました。そして、師高、師経は流罪・禁獄となります。その後、「さて山王の祟りか」、京はその月のうちに大火で『内裏炎上』となったのです。

先生は「物語に武士の装束や弓・太刀の記載があれば、受講生の皆さんの読解の助けとなるでしょう」と資料を配付され、朗読を進められました。そして、いよいよ本日最後の段、巻2の『座主流し』となりました。これは、天台座主明雲が、神輿を振りたてて内裏へ乱入した事件の責任を問われ、流罪となる話です。この人は天下一の高僧でしたが、西光父子の讒言(ざんげん)によって、法皇の怒りを買った人物です。

しかし結局は、物語の中の『一行阿闍梨の沙汰』にあるように、その明雲を伊豆への配流の途中、山門が粟津で奪還し、法皇はこれを不問にしました。ここで今回は終了となり、次回は『西光被斬』からです。

本日も講座室である旧居食堂の間は満席で、皆さんは物語の展開を興味深く読み取っていらっしゃいました。『源氏物語』から続けて受講されている方は「源氏物語より、面白いわ~。話の展開に躍動感みたいなのが感じられて・・・」と話され、次回以降に期待を寄せられていました。また多くの方々が、帰りがけにモリアオガエルの卵を見たり、雄と雌の呼応した鳴き声を聴いたりして歓声を上げていらっしゃいました。

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