学校法人奈良学園

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◇2012-05-28 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズIV》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《平家物語》第4回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

夏を思わせるような暑さになった今日ですが、旧居の食堂は南の庭から中庭へと緑の風が抜け、受講生の皆様は、快適な環境の中、講義に集中されている様子でした。本日は『平家物語』の『額打論』からですが、先生はいつものように予備知識として、二条天皇の譲位を巡って後白河院の思惑、二条や高倉それぞれの皇子の母方の家系など時代背景の説明から入られました。

さて二条天皇の病重く、その一宮でわずか2歳の皇子が天皇(六条)に即位、一か月後に天皇は崩御します。その葬送のとき、奈良(東大寺・興福寺)と京都(園城寺・延暦寺)の僧たちが墓所の四周に寺の額を掛けるのが「額打」ですが、その順番を延暦寺が破り、興福寺の僧が延暦寺の額を切り落としました。

ここで先生は、当時の大衆や僧侶がどのようなものであったか用意された資料で示され、王族の兵士と寺院の僧兵の別を詳しく説明されました。王族の兵士は、天皇の護衛にあたった元々皇族出身の清盛などがそれです。寺院の僧兵は、農家の次男三男などが食わんがために寺院に入った者が多く、悪僧も出現しました。"神は祟る"という日本人の信仰を悪用して、戦いでは神社の神輿(みこし)を盾にします。

NHKドラマ『平清盛』をご覧になられている方々は、「ああ、それで」とか「なるほどねぇ」など、先生の話に物語の合点がいったとばかりにうなずいておられました。ところで延暦寺は、額打の恥をすすぐため、興福寺の末寺・清水寺を焼き払ってしまいます。この騒動には、白河院が平氏追討を企てたのだという噂も流れ、清盛・重盛父子が警戒する場面もありました。

次の『鹿谷(ししの谷)』は、東山の麓の鹿の谷の俊寛僧都の山荘で、平家の大出世をねたむ公家や源氏たちが平家討滅の陰謀をめぐらしたという段です。その場にあった"瓶子(へいじ/花瓶)"と平氏をかけて、瓶子を倒したりその首を落としたりしたとあります。

受講生の一人が持参された笹リンドウが大テーブルの中央に置かれ、季節の風趣が加わった教室となりました。また、南の庭では、鶯神楽(ウグイスカグラ)が小さな赤い実をつけ、子ども部屋の前の芝生からはチリアヤメが出現。5cmばかりの身の丈に、かわいいブルーの花をつけていました。気づかないほど小さいので、踏みつぶされないようにと祈るばかりです。

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