学校法人奈良学園

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◇2012-04-09 (月)

春期近代文学講座第5回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期近代文学講座「光への憧憬」第5回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

本日からサブテーマ「斉藤茂吉をめぐって」に入りました。前半は茂吉作品を、後半は"作家と文体"について、いろんな作品に触れましょうとのことです。そして「"文は人なり"と言いますが、それを如実に表しているものを紹介しましょう」と、先生の書かれた「」文章表現の心覚え』から川端康成の『雪国』を例に、和田誠著『雪国パロディ・シリーズ』を読んでくださり、教室は納得する人、笑う人で沸きました。

先生は斉藤茂吉を講義するにあたり、茂吉の作品を、1.読者として楽しむ 2.個人的現代人の感情をなぜ「伝統的詩形」で表出したのか 3.茂吉文学(短歌、詩論、文学研究の三位一体)の魅力 4.茂吉文学から文学一般へ ということにポイントを置いて読み進めたいとおっしゃいました。

さて、『斉藤茂吉歌集』(岩波文庫)を手に、傍らに先生が用意された『作歌四十年』、略年表を置いて、『赤光』から詠んでいきました。『作歌四十年』は茂吉本人がどういう状況でその歌を調べたのかといういきさつを記したもので、研究者らにはありがたい資料だということです。

茂吉は、明治38年(23歳)から作歌し始めましたが、「はるばると・・・」の処女作は、出来過ぎと評される作品だとか。最初に彼は、正岡子規の遺稿『竹の里歌』を模倣、翌年には伊藤左千夫に師事します。枕詞や万葉調の古語を多用しており、「貴重な31文字の中の5文字を使い、リズム感以外に大した意味を持たないのに、どうしてでしょう」と先生から課題提起。

一首一首、歌集と『作歌四十年』とを、先生のリードで読み比べ、味わいながら進みました。「・・・あかるき中に我が心空しくなりて・・・」のように情景描写の後、一見逆の表現をしている歌も多く、それも今後の興味深い課題として指摘されました。

受講生の中には、短歌や俳句、詩の作家さんたちもおられ、講座終了後、歌の解釈を先生と熱心にやりとりされる方もありました。本日も、「自分ひとりだと、こんなに楽しく文学を味わうことなんてできないです。こういう機会が与えられて本当にうれしい!」と、文学少年・少女に立ち返られたような感想を漏らされる方々ばかりでした。

待ちに待った春の訪れの今日、氷室神社の枝垂れ桜も20日遅れで満開、旧居もぽかぽか陽気に包まれました。裏庭には、黄水仙も咲き始め、訪れる人に春を告げています。

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