学校法人奈良学園

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◇2012-03-19 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第13回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『源氏物語』の要所を、紫式部の男性観、女性観などの観点から読み進めてきました。本日はその総まとめでした。

本日は、前回の「なぜ六条御息所が重要な存在なのか」の続きで始まりました。源氏にしか見えていない六条御息所の物の怪、それは彼の良心の呵責でした。つまり、紫式部は、物の怪が見える人の心情を主体にするという、科学的なものの見方をしていると先生。また六条にしか物の怪は現れていないのも、読者が納得できる設定だとのことです。

そして六条御息所が決して悪者になっていないのは何故なのかを、「紫式部の人物にその鍵あり」と、式部の経歴を追いました。彼女は、地方長官の娘で晩婚、やっと結婚したのはかなり年上の(45~46歳)子持ち地方長官。一女をなし、幸せだった結婚生活は夫の死去により2年で終止符。その悲しみを忘れようと書き始めたのが源氏物語だったのでは・・・と。

その物語の宮中での評判に、時の権力者・藤原道長が目をつけ、娘・彰子の教育係にしました。膨大な物語の執筆に必要な紙や墨などはすべて道長が提供。式部が道長の側女だった可能性も大ということです。彼女が、自分の立場と物語の女性たちとを比べることになるという背景がここにあります。彼女はまた、「男児は大臣公卿に、女児は女御后に」という平安貴族社会のシステムも否定しています。

さて主人公・光源氏その人の生涯を見ると・・・。「雨夜の品定め」とその後の女性遍歴、それは「女の物語」としても読めるものです。が、更衣腹で臣籍に降下し、明石流謫、そして復権していく経緯は「王権の物語」としても読めると先生。桐壺、朱雀、冷泉、今上の四代が、いかに皇位を継承していくかが実在の天皇名も使って書かれていますが、実は王権を持つ者として最も理想的なのが光源氏だと式部は主張していると話されました。

また、『光源氏に見る男の魅力』(山口仲美著)の"重荷に耐える中年源氏のリアリティー"を資料に、『源氏物語』が古代の物語という枠を超えて、人間をえぐりだす小説として現代まで生きながらえてきたのは、悩みのた打ち回って苦しみに耐えようとするリアリティあふれる中年男性・人間の匂いあふれる光源氏の姿が描かれているからとし、その源氏に焦点を当てての読み方もあるとされました。

受講生の皆さんが1年半近く学び楽しまれてきた『源氏物語』が今日で終了。先生は、前回の予告どおり、「源氏物語ゆかりの地を訪ねられるならご参考までに」とMAP付き資料を、加えて「平清盛の京を歩く」(京都市発行)パンフを全員に配布してくださいました。

お水取りも満行、大和に春到来かと期待するも、今年は季節の歩み遅く、庭の藪椿がやっと1~2輪花開き始めました。玄関の紅梅も蕾が色づきかけたところですが、南庭の白梅は満開、この先はどんどん春めいてきそうで楽しみです。

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