学校法人奈良学園

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◇2012-02-27 (月)

春期近代文学講座第2回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期近代文学講座「光への憧憬」第2回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

朝から小雪のちらつく寒い日でしたが、今日も40名近い受講生の出席で、旧居の食堂とサンルームだけは文学熱に包まれました。植村先生は、前回の日野啓三のまとめから入られ、現代の私たちが失いかけている大切なものを、彼は光を題材に小説の中で描いていったと繰り返されました。

そして日野の『自薦エッセイ集』の中の『魂の光景』から、彼がアイロニーに富んだ表現で、生物の生態学などグローバルな視点から現代の生き方を説いていることを読み取りました。途中、「これまた、余談ですが...」とおっしゃりながら、由紀さおりの歌が今欧米で大ヒットしていることの検証を行われました。

「浜辺の歌」や「さくら」も例に挙げられ、日本語の音節の響き(オタマジャクシ1つに1音なのと母音で終わる開音節)が耳に聞き良いからでは、とのことです。

光への憧れは、童謡や詩にも多く、阪田寛夫の『夕日がせなかをおしてくる』『ゆうやけによばれて』『かげ』、野長瀬正夫(十津川村出身)の『菜畑』『ぼくの家だけあかりがともらない』、吉野弘の『夕焼け』を読み、やなせたかしの『手のひらを太陽に』は皆で歌いました。

また、『「ふるさと」の灯』と題された先生自身の寄稿文で、釋迢空(折口信夫)の明日香の灯の歌や、井上靖の最晩年作には「燈火」に格別の感性を照射している作品が多いことも紹介くださいました。

更に竹西寛子の『詞華断章』から「月夜の影」や「月に雪」を読み、源氏物語で源氏の藤壺追想場面に「冬の夜の澄める月に雪の光りあひたる空こそ、あやしう色なきものの、身にしみて」(朝顔)とあるのを讃える下りにも触れられました。当館の古典講座も受講されている方々には、より興味深い内容だったようです。

旧居の前庭に植わっている何本かの馬酔木(アセビ)の花芽がより膨らみ、ぽつぽつと白く可憐な花を咲かせ始めました。

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