学校法人奈良学園

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◇2012-02-20 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第11回を開催しました。本講座は"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに読み進めてきました。講師は当館の北森貞次館長です。

本日は冬晴れの好天気、サンルームに射しこむ日差しに温もりを感じながらの聴講となりました。「物語を読むのは今日で終了です。次回からの2回は話をしたいと思います」との前置きで始まり、『ふじばかま(藤袴)』から『まぼろし(幻)』までを読みました。

先生は「タイトルは、いつも話していますように、贈答歌などから後の人がつけたものですよ」と、その由来を説明してはその段のポイントとなる下りを注釈しながら進められます。玉蔓に言い寄った蛍兵部卿と柏木、夕霧、髭黒の4人を、用意の系図でその関係や身分をわかりやすく示され、その親格として源氏がそれぞれを観察していたとの説明でした。

源氏は他の男たちに取られるぐらいなら玉蔓を入内させたいのですが、身分が違いすぎるのでと玉蔓がためらう『ふじばかま(藤袴)』。そして、こともあろうに好きでもない髭黒と結婚して後悔に落涙する玉蔓(『まきばしら(真木柱)』)ですが、子どもは5人もできます。

途中はちょっと飛ばされて、『わかな(若菜)』の上下へ。出家した朱雀院に女三宮を託された源氏は、愛妻・紫上の心中を思って、言い訳したり気遣いしたり・・・。紫上は、屈折した思いの中で、夫を新妻のもとへ送りだすのでした。が、やがて病で二条院へ退出、ある日死去のニュースが。と、これは紫式部の読者に緊張感をもたらすテクニックでした。

紫上は出家して源氏との関係を清算("定年離婚"と先生)したいと思うのに、源氏は許さず、とうとう「おくと見る程ぞはかなき ともすれば風に乱るる萩の上露」との辞世の句を残して亡くなりました(『みのり(御法)』)。

さて『まぼろし(幻)』の段。紫上を失った源氏は、悲嘆にくれ、出家を決心。それを目前の大晦日、「物思ふと過ぐる月日も知らぬ間に 年もわが世も今日や盡きぬる」と、しみじみ振り返るのでした。この次には何も記載のない『くもがくれ(雲隠)』という段があるとかないとか。先生の説は「おそらく、後世に作られたのではないでしょうか」でした。

講義後、先生の「次回は"何故、六条御息所か!"です」との言葉に、受講の皆さんは「生き霊となってまで彷徨する彼女を、どう先生が語られるのか楽しみで・・・」と期待しながら旧居を後にされたようです。裏庭ではトウカエデとムクロジの裸樹が青空に向かって背伸びしていました。本日は直哉の誕生日、資料室の頭像(吉川政治作)に登場いただきます。

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