学校法人奈良学園

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◇2012-01-30 (月)

平成23年度 特別公開講座を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《『座右寶』をめぐって》を開催しました。講師は当館の北森貞次館長です。

『座右寶』は志賀直哉が大正15年(直哉43歳で奈良に移ってきた直後)に出版した写真集です。彼の気に入った東洋の建物、庭園、絵画、彫刻等約90点が上下2巻に収まっています。当館資料室でこれを目にしたセミナー受講生たっての希望でこの講座が実現しました。

先生は、この『座右寶』が出されるに至った直哉の心情を追うべく、直哉の誕生から奈良を経て東京に戻るまでを、スナップ写真と年譜で説明してから、その序文に入られました。「東洋の古美術に惹かれ始めたのは總ての事が苦しく煩わしく・・・中略・・・安息の場所を求めてゐる時だった」で始まる2行は、直哉が人生を語った重要な言葉だとのことです。

先生が「純でストレートな性格」と評される直哉の人生を苦しく煩わしくしたのは、一つには直哉の性格、二つめは3人の母(祖母留女・実母銀・義母浩)との関係、三つめは父直温との確執という3点であり、白樺派でも満たされなかった直哉はノイローゼに近い状態だったと考えられます。

先生はまた、直哉がこの旧居を自ら設計して建てた理由と、奈良での生活が彼の人生にどういう意味を持つかがわかる書だと話されました。その『座右寶』に載った奈良の建造物は、十輪院本堂(奈良市)と、慈光院茨木門(大和郡山市)です。

配付資料の中には、昭和30年発行の『文藝』に載った志賀貴美子さん(末娘)のエッセイ「父」もあり、直哉の家庭でのエピソードと先生のトークとに受講生の皆さん爆笑の場面が多々ありました。講座終了後、皆さん『座右寶』の周りに集まって、1ページずつ丁寧に繰っては直哉の感性に感じ入っておられました。

そして口々に「感激です。全ページ拝見しました」「先生のお話はわかりやすい言葉と内容で、ユーモアと温かみがあっていいです」「知らなかった直哉を垣間見れたことで、親しみが持てました」などとおっしゃりながら帰途に就かれました。

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