本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で「奈良再発見」をテーマに夏期特別講座の第２回目を開催。本日は、初日同様、この地の芸術や文学に残る貴重な遺産の継承をと、志賀直哉旧居を中心に研究を進める「白樺サロン」有志で、大阪教育大学名誉教授の梁瀬健先生による「志賀直哉旧居と谷崎潤一郎の観音様」と題した講義でした。

内容は、志賀直哉と谷崎潤一郎の一体の仏像を巡るエピソード。最初に仏像を入手した谷崎は聖観音様に無かった手を付け、後にそれが直哉に渡った折にその手は外されて、各々が「この姿こそ美しい！」とした話や、戦後の生活苦から売りに出され、その後行方知れずになっているのを梁瀬氏が追跡調査したことなどでした。

梁瀬先生は、当時の大文豪二人の人となりの違いなどを織り交ぜ、登場人物名や地名、建物などは文字カードで、また写真もコピーを用意し、"紙芝居"形式で、飽きさせない進行。二人の葬儀写真の極端な違いは圧巻でした。

また、受講者24名の一人で、当時の旧居の東隣に住んでいた岸村圭子さん（77）に、その頃の思い出話を語っていただき、この界隈が画家や彫刻家、作家などが多く住まいする文化的にハイレベルな一帯だったことも実証されました。

土用の暑さを忘れさせる展開に、出席者は、「今日も良かった」と、志賀直哉への関心をより強くされたようです。