本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で「奈良再発見」をテーマに夏季特別講座の第3回目を開催。本日は、前2回と同様、志賀直哉旧居を中心にその貴重な遺産の継承をと研究を進める「白樺サロン」有志であり、奈良女子大学教授の弦巻克次先生による「志賀直哉をめぐる人々」と題した講義でした。

志賀家の家庭教師であった池田小菊と泉鏡花を中心に、直哉と交流のあった人物の話で、池田小菊は、奈良女子高等師範（現奈良女子大）附属小学校訓導（教師）として学習法（総合学習）に取り組みながら、志賀家の家庭教師として、直哉の信頼を得た女性です。後に直哉に師事し、作家として活躍、また婦人会活動にも力を注いだ人物です。直哉や池田小菊と交流のあった小説家と奈良の住まい地図など、貴重な資料を用意しての講座でした。

泉鏡花研究の第一人者である弦巻先生ですが、研究過程で直哉と鏡花の出会いの定説（大正2年のロダン展）を覆す発見（『木下利玄の日記』から明治45年のロダン展と判明）があり、その貴重な研究内容の初公開がありました。先生から「お茶の先生だったという多川さんという方のことなど、まだ謎の部分もあります。皆さんからも情報を･･･」と、出席者に手がかりを求められる一幕も。

この日も厳しい暑さでしたが、参加者らは「苦になりません。こんな深い話が聴けるんですから」と、講義後も先生に質問するなど、熱心に聴講されていました。