学校法人奈良学園

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◇2010-11-29 (月)

冬期公開講座《古典シリーズⅠ》が始まりました

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典シリーズⅠ》の第1回目を開催しました。本日のテーマは『源氏物語 宇治十帖』、講師は当館の北森貞次館長です。

先生は、「源氏物語は切り口次第で十人十色の読み方ができます」と述べられ、ここでは、 "紫式部が光源氏の生涯を書き綴って、なお書き足りなかったものは、一体何だったのか"をキーに、藤原氏の権力、女性の地位などを考証しながら読み進めていこうということです。

まずは源氏物語が成立した時代背景の確認です。この時代は摂関政治であり、藤原氏(特に兼家)全盛時代であること、女性上位から男性上位への移行期であることなど、歴史の復習をしました。兼家は長女・超子(ちょうし)を冷泉天皇に、次女・詮子(せんし)を円融天皇に入内させ、息子・道長は3人の娘をそれぞれ三条・一条・後一条天皇の中宮(正妻)にしました。そして勢力増強のために、生まれくる皇太子を政治に利用していくのです。

宇治十帖は、宇治を舞台に、薫と匂宮の二人の男性のことが書かれた物語です。薫は明石の上と光源氏(実際は柏木)との子、匂宮は今上天皇と明石中宮(光と明石の上との娘)の子です。六条院という広大な屋敷の一角で匂は紫上に、薫は三宮に育てられ、物語は展開していきます。「本作品は創作モノですが、実在の人物が出てきたりしても許されるおおらかさもあった」とこの時代の解説がありました。

事前学習で予備知識を得て、いよいよ、物語「にほふ宮」に入ります。古語の現代語訳をしながらの進行で、受講生は、「高校・大学時代は受験に追われて少しかじった程度でしたので、もっと楽しみたいと思って参加しました。夢がかないそうです」と、今後の講座に期待を寄せていました。

また、先生は「お遊びですが・・・」と、資料に用意した百人一首の絵札で、光源氏のモデルと言われる河原左大臣や紫式部、清少納言、その父・清原元輔、不遇の三条院らの歌の解説もされました。

庭のカエデが真っ赤に色づいた旧居の晩秋の今日、色鮮やかな物語の世界が始まりました。

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