本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典シリーズI》の第3回目を開催しました。本日のテーマは『源氏物語 宇治十帖』(日本文學大系17「源氏物語四」)の「第四五帖 橋姫」、講師は当館の北森貞次館長です。
本日の講義は、八の宮が幼い姫二人(大君と中君)を連れて宇治に移り住んだあたりから始まりました。八の宮を慕っていた薫は時折ここを訪ねてきていたのですが、ある日、琵琶と琴の音の聞こえる山荘を隠れ見ると美しい姫二人の姿が目に入り、「心移りぬべし」と物語は展開していきます。
先生は、日本語の特徴の「言語中のハ行はワ行で発音/例外に〔あひる〕」、「末つかた」など古語の「つ」は「の」の意であるなど随所で文法を細かく教示されながら、作者紫式部の筆致の巧みさにも触れつつ、皆を物語の世界に誘われました。
「薫は弁御許聞(老女房)から、出生に関する重大な秘密(光ではなく柏木との不義の子)を知らされ、母三宮に尋ねることも出来ず悶々とするのでした」というところまで進み、次回1月24日は「しひがもと」に入ります。
新年初講座のこの日(成人の日)は祝日であり、また最高気温4℃という寒さでしたが、全員出席で講座の行われた食堂は満席状態でした。また早朝からテレビ朝日「都のかほり」の取材・撮影で菊川怜さん、原沙知絵さん二人の女優の来訪という、うれしいサプライズもありました。
出席者からは「『源氏物語』に用語解説などは付いているけど、とても一人では読めません」とか、「北森先生のは、古語一つの読解にも、時代背景を含め、現代とも比較しながらユーモアたっぷりの読解なのでとにかく楽しい」という声が多く、今日も古典の世界を満喫の様子でした。次回は、八の宮亡き後、物語がどう展開されていくかを読み進みます。 |