本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典シリーズⅠ》の第5回目を開催しました。本日は『源氏物語 宇治十帖』(日本文學大系17「源氏物語四」)の「第四六帖 しひがもと(椎本)」の終盤から、「第四七帖 あげまき(総角)」へ。講師は当館の北森貞次館長です。
本日は、八宮が自分亡き後の娘二人(大君と中君)の行く末を深く案じながら、ついに他界、姫たちが悲嘆に暮れるところから始まりました。八宮は「皇族の誇りを失わず、軽々しく男性になびかず、この宇治を離れることのないように」と姫君たちに言い残し、山寺へ入って帰らぬ人になりました。薫はこれを知りいたく悲しんで、お葬式の段取りからすべてを取り計らい、後見の役を買って出ます。
八宮の一周忌の準備の頃、薫は大君に惹かれて歌や手紙でモーションをかけます。が、大君は世話になっているので邪険にも出来ず、さりとて受け入れるのもいやで、二人きりにしないでと女房たちに頼むのですが、ある夜ついに薫にチャンスが・・・。ところが、薫は恋慕うゆえに本意を果たせず、大君に心を残しながら山荘を去ります。
出席者は、途中何度も「歯がゆい男ですねえ、薫は・・・」と言わんばかりの先生に、相槌や苦笑交じりに受講、「先生の説明で、その情景が鮮やかに思い浮かべられて、古典の楽しさにどっぷり浸れます」と話し、次回は、いよいよ『宇治十帖』の山場にかかるとのことで、期待を込めて帰途に着かれました。
講座終了と同時に、横浜市立大学の近代文学ゼミの学生さんたちの見学がありました。北森館長の説明に、学生さんたちはうなずき、感嘆の声を上げつつ、聞き入っていました。
3日前大雪に見舞われた雪はほとんど跡形なく消えたものの、昼前から降り始めた雪がまた積もり始め、再び雪景色の旧居となりました。 |