学校法人奈良学園

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◇2011-02-21 (月)

冬期公開講座《近代文学シリーズⅠ》(全6回) 第4回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズⅠ》(全6回)の第4回目を開催しました。本シリーズは、講師に京都大学以文会評議員の植村正純先生をお招きして、井上靖と志賀直哉の作品を読み進めていただきます。

この日は、井上靖の詩の「人生(人生観・友・懐旧)」が表れている『海』『海鳴り』『ハバロフスク』『回転ドアー』『二つの絵』などを読み進みました。

先生はまず、井上靖の詩の特徴を、ストーリーが読め、特別な叙情や感性の世界を享受できる"詩への共感"という言葉で表現され、「詩は好きなように読めばいいのですが、こんな大勢で読むときはある程度の共感を持てたらいいですね」とおっしゃって、詩中のキーとなる言葉に注意を喚起させながら進められます。

途中幾度となく、「この表現・言葉はどうですか? どうイメージしますか」と先生の問いかけに、「私は○○○○○○でないかと・・・」とか、「わたしは、□□□□□□□□と想像しました」など、先生が歓迎される"大きな独り言"が活発に出て、受講生のそれぞれが、詩の凝縮された言葉から、"異体験世界の表象への感動や、同体験世界の巧みな言語表現による代弁"(植村先生の講義から)に感じ入っておられる風でした。

作品『二つの絵』では、作中にある青木繁の『海の幸』と富岡鉄斎の『梅華書屋図』の図録を実際に提示され、靖がなぜこの二つの絵を好きなのか読み取れるよう説いてくださいました。そして「歩みが遅くて申し訳ないですけど、次回も井上靖を・・・」ということで、今日の講座は終了しました。

この日も、サンルームのガラス天井から陽光が降り注ぎ、庭の白梅の蕾もほころびかけ、前回に増して"春近し"と思える旧居でした。帰りがけ、「おかげで絵の見方も変わってきました。同じ絵でもその作品についての詩や小説を読んでからだと、より深い観賞ができますね」とおっしゃる受講者があり、今日も実のある楽しい講座だったようです。

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