学校法人奈良学園

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◇2011-02-28 (月)

冬期特別公開講座《古典シリーズⅠ》第6回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典シリーズⅠ》の第6回目を開催しました。本日は『源氏物語 宇治十帖』(日本文學大系17「源氏物語四」)の「第四七帖 あげまき(総角)」でした。講師は当館の北森貞次館長です。

『宇治十帖』の山場、大君に思いを寄せながら本位を果たせぬ薫が再び大君の寝所に忍び込む場面です。八宮亡き後、妹・中君の親代わりのような気でいる大君は、中君の幸せを願って、中君を薫と結婚させようと思いました。ある夜、いつものように二人同室で寝ているところへ女房たちの案内(女主人の結婚は自分たちの身分の安定に)で薫が忍び入ります。大君は気づいて屏風の陰に身を潜めました。薫は中君とも朝まで語り明かしただけでした。

ことあるごとに自分を避ける大君にもどかしさを感じる薫ですが、中君と匂宮が結ばれれば大君の気持ちを得られると考え、匂宮を密かに宇治へ案内。続きは3月21日のお楽しみです。

娘をもつ父親は、自分の出世のために入内させ、宮中の男性はその種をどんどん蒔くのが習いの世にあって、薫のこの在りようは尋常ではないのですが、「本気で愛すればこそ、大事にしたいと思う新タイプの男性を、式部はすでにこの時代に登場させているのです。すごいですね」と先生。男女の感情の機微を現代と対比しながら、「わからない古語は、現代の言葉を思い出してみるといいです」と例を挙げてはわかりやすく説明し、細かく読み進められます。また、「古の言葉にはなかなか趣深いものが多いですが、だんだん無くなっていくものがあるのは寂しいですね。私は"すだく(虫の声)"など、好きですが・・・」とも。

明け方からの雨で、旧居の二階からは春日原生林に春霞のような朝もやの景観が楽しめました。講義中から本降りになりましたが、受講生の皆さんは「丁寧な読みくだきなので、そのシーンが手に取るように思い浮かべられました」と、"雨もまた楽し"とばかりに、旧居の門を後にされました。

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