学校法人奈良学園

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◇2011-03-14 (月)

冬期公開講座《近代文学シリーズⅠ》(全6回)第6回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズⅠ》(全6回)の第6回目を開催しました。本シリーズは、講師に京都大学以文会評議員の植村正純先生をお招きして、井上靖と志賀直哉の作品を読み進めてきました。

この日は先週と打って変わり、四月の陽気を思わせるような日となりましたが11日午後発生した東日本巨大地震による犠牲者を悼む言葉で始まりました。

先週まで井上靖の詩を深く味わってきましたが、最終回の今日は志賀直哉の作品です。秋期講座で学んだ"自己主張・父子相克・調和"がテーマの作品とは毛色の異なった『赤西蠣太』『小僧の神様』『真鶴』の3編を読みました。先生によれば「志賀直哉の作品の全体像を探るよすがになれば」とのことです。

『赤西蠣太』はいわゆる伊達騒動を題材にしたものですが、「所謂醜男の方で言葉にも変な訛があって、野暮臭い何処までも田舎侍らしい」主人公・赤西蠣太ほか、登場人物が銀鮫鱒次郎とか、安甲(あんこう)、小江(さざえ)など魚名。"美"と"醜"の通い合いをテーマに好人物を登場させて極めてユーモラスに描いた作品の明るさに、教室は時折笑い声に包まれました。

大正9年作の『小僧の神様』は、人が持つ善意が描かれているのですが、直哉が愛着を持って後々まで大事にした作品で、志賀文学に傾倒する人たちから直哉が"小説の神様"といわれた由縁のものだとのことです。『真鶴』は、大人の世界に足を踏み入れかけた時期の少年が年上の女性にほのかな恋心を抱くという内容ですが、植村先生が自らの少年期と重ねて、受講の男性諸氏に同意を求められる場面もありました。

冬期講座は終え受講生の皆さんは、「先生のおかげで深い読みができ、井上靖や志賀直哉の作品が輝いてきました」と、次の春期講座も楽しみにされて帰途に着かれたようです。

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